「3月の既存店売上高は、食品スーパー(SM)各社が前年比約107%、ドラッグストア106・1%、総合スーパー(GMS)各社約93%」(イオン)。
 小売大手の3月度既存店伸長率は、衣料品の低迷などを受け総合スーパー(GMS)の売上げが伸び悩む一方、食品スーパー(SM)はまとめ買いをはじめとする客単価のアップにより前年実績を上回った。

 「巣ごもり需要の増加で、缶詰やカップ麺、パスタ、米などの加工食品が売上げに大きく寄与。学校休校で、牛乳や菓子パンなどの売上げも好調だった」(ユニー)、「巣ごもり需要に対し、食品のまとめ買いなどによりプラス」(ヨークベニマル)など、3月も新型コロナウイルスが売上げに大きく影響した。
 ただ、「食品、日雑などを扱う食品SMやドラッグストアは好調だったが、GMSは衣料が苦戦」(イオン)、「生活雑貨、食品中心に買いだめ需要でプラスも、アリオ等のSCはマイナス」(イトーヨーカ堂)、「外出自粛の影響により、春物商品や入学・卒業に係る商品は苦戦」(ユニー)といったように衣料部門が苦戦した。

 実際、ユニーの3月度部門別既存店売上高は、食品106%、住関品103・5%に対し、衣料78・2%。非食品の売上高構成比が高いGMSは、不要不急の外出自粛要請などによるマイナスの影響が現れた形だ。
 SMはベルク、ヤオコー、オークワが二ケタ増となるなど軒並み前年実績を上回った。共通するのは客単価の増加。ライフコーポレーションは客数99・8%に対し、客単価107・1%、バローも客数97・3%に対し、客単価106・1%、ヤオコー客数100・2%に対し、客単価112・6%といったように、いずれも客単価アップが寄与している。
 客単価の上昇は、前述の通り小中高校の休校を受けた昼食需要の増加、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けた外食機会の減少などに加え、不要不急の外出自粛でまとめ買いが増加している影響とみられる。客単価を細分化して公表しているマックスバリュ東海の3月既存店客単価は1品単価111・5%、買上点数105%、マックスバリュ九州は1品単価102・5%、買上点数103・3%。
 一方、ネットスーパーについてはイトーヨーカ堂のIYネットスーパー(西日暮里)の既存店売上高が107・1%と上昇。ミールキット、レトルト食品、頻度品(牛乳,卵等)が伸長したことが売上高を押し上げた。
 7都府県を対象とする緊急事態宣言の発出を受け、「食品SM、ドラッグ、GMSの食品やウエルネスは好調で、客数、単価が上がっている。小商圏フォーマットへの支持が高い」(イオン)というように、引き続き食品を中心とする小売業への需要が続く見通しだが、他方「“アフターコロナ”はかなり変わる。行動制限が行われる中、内食、家族団らんの良さが再認識されるのではないか。そうした変化に対応する必要がある、オンラインシフトも早める」(イオン)というように、新型コロナウイルス騒動が収束後、消費行動や生活パターンの不可逆的な変化も予想される。
 小売、特に事業構造改革を進めるGMS業態については、“アフターコロナ”視野に入れた取り組みが加速しそうだ。

4/17(金) 11:15配信
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