新型コロナウイルスの感染拡大は、就職活動中の大学生らにも暗い影を落としている。3月からの企業説明会は中止が相次ぎ、今月7日の緊急事態宣言後は選考を延期する一部企業も出てきた。大学も閉鎖されるケースが多く、例年通りのサポートは難しい状況だ。16日、緊急事態宣言の対象地域が全都道府県に拡大する方向となり、内定が得られない学生らの苦悩はますます深まりそうだ。

 「暇なのはとても不安」

 「2月下旬からインターンシップ(就業体験)や説明会の中止が増え、本来なら忙しいはずのこの時期に暇なのはとても不安だ」

 都内の私立大4年の男性(22)は、大学の授業延期も重なり、アルバイトと就活塾に通う以外は予定のない日々が続いている。グループディスカッションが個人面接に変更されるなど、対策が無駄になってしまうケースもあった。「いつ内定がもらえるのか」と焦りばかりが募る毎日だ。

 首都圏の私立大4年の男性(21)も企業の選考延期が相次ぎ、次回の面接日程も伝えられていない。「家にいるだけの毎日」という。大学施設内は立ち入り禁止となり、就活の相談窓口も閉鎖。エントリーシートの指導や面接練習なども受けられない。

 男性は「OB訪問で会うのも会社で禁止されていると先輩から聞いた。前回、最終面接を受けてから日が空いているので練習したいのに、待つ以外のことができない状況だ」と話す。

 ウェブで情報収集

 大規模な合同企業説明会はほとんどが中止となり、個別の会社説明会も中止になっているところが多い。オンライン形式の説明会やウェブ面接を導入する企業も出始めている。

都内の私立大4年の女性(21)は、中止となった合同説明会などの代わりにウェブで開催される企業個別のライブ配信などで情報を収集している。「直接足を運ぶと移動時間を考えないといけないが、オンラインなら(予定を)詰め込める。ウェブだからこそ効率的にできている部分もある」と前向きにとらえる。

 一方、座談会やOB訪問など社員と直接会話できる機会がなくなっていることへの懸念もある。「実際の社員と会ったときのように雰囲気が分からない」と不安を漏らした。

 大学側も試行錯誤

 緊急事態宣言後、多くの大学は学生の立ち入りを禁じ、職員も在宅勤務となるケースが増えた。学生へのサポートが思うようにできず、試行錯誤している。

 学生への手厚いサポートが人気を集める明治大。通常は対面での相談業務を行っていたが、感染拡大後の今月1日から主にオンラインのビデオ通話システムによる個別対応に移行。さらに緊急事態宣言後は同システムで、スタッフ1人が複数の学生に同時対応する方法に切り替えた。個別の模擬面接ができなくなり、別の方策を検討中という。

採用日程見直し7割以上

 就職情報会社「リクルートキャリア」が3月27〜29日に企業の人事担当者約1200人に実施した調査では、複数回答で76・0%が採用日程を見直す方針と回答した。一方で、内定を出す時期については28・2%が「変更した・する」とし、26・9%が「変更しない」、44・9%が「検討中(分からない)」とした。

 同社の就職みらい研究所の増本全(ぜん)所長は「採用は競争なので(企業側は)内定時期は変えたくないが、このままでは昨年通りのタイミングは無理なため、検討中の割合が高い」と分析する。

 採用数については45・5%が「変更しない」、19・3%が「減らす」、24・5%が「検討中」とした。


苦悩する就活生「家にいるだけ」 説明会中止や選考延期…対応苦慮 2020.4.17 06:55
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