Q メリットは。

 A 終電が早まることで、夜の街へ出掛ける人の動きを抑制できます。飲食店などに休業や営業時間の短縮を促すことになり、さらなる外出の自粛につながることが期待されます。夜の街ではクラスター(感染者集団)が相次いで確認されており、県域を超えた移動が活発な首都圏で取り組む意義は大きいとみられています。

 Q デメリットも考えられるか。

 A 終電近くの時間帯に乗客が集中して混雑が激しくなれば、逆に感染リスクを高める懸念があります。外出自粛の中でも、医師や看護師ら夜遅くまで働かざるを得ない人たちにとっては、通勤に支障を来す可能性もあります。

 Q そもそも終電繰り上げは要請できるの。

 A 改正特別措置法(新型コロナ特措法)には、首相が鉄道事業者を含む「指定公共機関」に対策のための総合調整で必要な指示をできると明記されています。今のところ政府は、混雑が激しくなる懸念の方を警戒し、要請には慎重です。政権幹部は、夜の街での感染拡大に歯止めがかからない場合には「終電を早めてもらうことも選択肢にある」としています。

 Q 要請が出れば、繰り上げになるのか。

 A JR東日本の広報担当者は取材に、ダイヤの再編成のほか、電車や運転士の運用などを課題に挙げ「簡単にできるものではない」と説明。東京メトロも「行政から指示があれば、どこまで対応できるか含めて検討しないといけない」と話すにとどめています。緊急事態宣言の発令当初から対象地域となった大阪府では十八、十九両日、地下鉄や私鉄の運行本数を約二割間引きする「減便」が実施されています。首都圏でも今後、終電繰り上げや減便が検討される可能性はあります。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/202004/CK2020041902000109.html