新型コロナ感染拡大で警戒すべき「差別」「社会の分断」「インフォデミック」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200420-00622059-shincho-int 

14世紀半ばの欧州では、ペストのパンデミックにより人口の3分の1以上が減少したと言われている。
死者の皮膚が黒くなることから、人々はペストのことを「黒死病」と呼んだが、黒死病の蔓延は当時の欧州社会に大きな傷跡を残した。

 その中で特筆すべきは、「ユダヤ人が宗教的陰謀のため井戸などに毒薬を投じた」とするデマが拡散し、各地でユダヤ人虐殺事件が起きたことである。

「疫病の蔓延にパニックを起こした住民がマイノリテイをスケープゴートに仕立て上げる」という構図は、今回も既に起きつつある。

 3月中旬から下旬にかけて、米トランプ大統領が新型コロナウイルスのことを繰り返し「中国ウイルス」と呼んだことで、米国ではアジア系に対する差別意識が生じた。
ニューヨークの地下鉄でマスクを着けたアジア系女性を男が追いかけ、殴りかかる事件が起きている(AFP報道)。
こうした暴力は、「黄禍論(黄色人種警戒論)」を背景に米国政府が中国人の移住を全面禁止した1882年にさかのぼるとされ、根強い差別意識がその背景にある。

 米国で差別を受けている中国人だが、本国では広東省広州市に多数存在するアフリカ系住民に対する差別行動が国際的な問題となっている。
「新型コロナウイルスを拡散している」との噂が広がり、アフリカ系住民はレストランの利用やホテルの宿泊が露骨に拒否される事態となっており、自宅などでの隔離が強制されている。
中国人の行動の根底にも長年の黒人に対する差別意識がある。