4月24日、金曜日。
前日発売の『週刊文春』で、
森友事件の公文書改ざん財務省近畿財務局の赤木俊夫さんの記事を6週連続で書いた私は、
首相官邸周辺を訪れていた。

と言っても安倍総理に用があったわけではない。あっても会ってくれないだろう。私が用があったのは、官邸のすぐ下にあるお店、実においしい。大好物なのだ。

お昼時はいつも混雑して行列ができるこのお店も、今はお客が少ない。
その店内の壁に、見慣れた顔写真が掲げてあるのがおわかりだろうか? そう、安倍総理。店の外にある官邸の今の主である。

記事は《「安倍総理」が行った店》というタイトルだ。記事によると、安倍総理は5年前、
2015年の1月12日の昼に秘書官ら10人以上とともにお店を訪れ、太肉担々麺(だあろうだんだんめん)と餃子を味わったようだ。

私はお店の方に尋ねてみた。
「安倍さんはよく来られるんですか?」 「いや、さすがによくは……立場が立場ですからね」

安倍総理は今、“未曾有の危機”にある。未曾有は「みぞう」と読む。「みぞうゆう」ではない。
と書くと「何を失礼な」とお叱りを受けそうだが、中には読めない方もいるようなので

それはともかく安倍総理は今、“未曾有の危機”にある。国難と言うよりむしろ総理の危機。
アベノマスク。10万円給付の迷走。コラボ動画の炎上。
コロナ拡大防止で「外出しないで」と呼びかけているさなかに妻の大分旅行が発覚。その数日後、再び「外出しないで」と呼びかけた。妻ではなく、国民に。

ですが、安倍総理を支持している皆さん、ご安心ください。安倍総理の足元は微塵も揺らいでおりません! 首相官邸の足元にあるこのお店に、安倍総理の記事が掲げてある限り。
誰が何を言おうと、どんなことがあろうと、安倍さんを断固支持する。それが草の根安倍シンパというもの。

その草の根支持がある限り支持率は落ちず、安倍総理は安泰だ。安倍総理の治世は永久(とわ)に続くことだろう。
千代に八千代に、さざれ石の巌(いわお)となりて、苔のむすまで。
もっとも安倍総理が安泰でも、我が国が安泰とは限らない。
コロナも、森友も、こんなに深刻なのに

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