アマゾンの従業員が、サードパーティの販売業者から得たデータを競合する自社製品の開発に生かしたことがあると話したと、ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。
アクセスしたデータを元に、最大の利益を上げられる製品を選択し、プレイべートレーベル製品の価格を決め、どのような機能をコピーすればいいのか判断したという。
アマゾンは長年にわたって販売業者のデータを利用したことはないと言い続けてきた。複数の反トラスト法違反の調査についての連邦議会での証言でも、改めてその点を強調していた。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、20人以上のアマゾンの元従業員が、アマゾンのプライベートレーベルでどのような製品を作るべきか検討するに当たって、サードパーティの販売業者の情報にアクセスしてデータを集めたという。ある元従業員は、非公開のデータを入手することは「標準的な運用手順」だったと述べた。そのデータとは、製品の価格をどうつけるか、どの製品が最大の利益をもたらすかということを検討する際のヒントとなるものだった。

これらの証言は、アマゾンが長年にわたって主張してきたことと正反対だ。アマゾンは、政治家からの批判や反トラスト法(日本の独占禁止法に相当)に関わる調査を受けた時も、サードパーティの販売業者からデータを収集したことはないと、一貫して否定してきた。また、2019年7月に行われた連邦会議の公聴会でも、アマゾンの幹部は、同社が自社製品の優位性を高めるために、販売業者のデータを利用したことはないと否定した。

「どのようなプライベートレーベル製品を開発すべきか判断するために、非公開となっている業者のデータを利用することは、従業員に対して厳しく禁じている」とアマゾン広報担当者はBusiness Insiderに語った。

「WSJで報道された内容が正しいとは思わないが、真剣に受け止め、内部調査に着手することにした」

アマゾンはこれまで非難されてきたことに対し、同社のプライベートレーベル製品は、プラットフォーム全体の売り上げのわずか1パーセントにしかならないと強調した。しかし、アマゾンの元幹部がWSJに語ったところによると、その割合を2022年までに10パーセントまで高めるよう指示されていたという。同社のプライベートレーベルには、アマゾンベーシック、アマゾンコレクション、アマゾンエッセンシャルズなど45以上のブランドがある。

現在アマゾンは、アメリカの司法省や連邦取引委員会だけでなく、欧州委員会の競争政策部門からも、データの利用をめぐって競争を妨げる行為があったかどうかの調査を受けている。

アマゾンはEコマース市場で支配的な立場にある。市場調査を行うeMarketerによると、2019年のアメリカにおけるオンラインセールスの40パーセント近くをアマゾンが占めている。

May. 02, 2020, 07:00 AM TECH INSIDER
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