JR九州(福岡市)の青柳俊彦社長は11日に記者会見し、2016年10月の株式上場後初の減収減益となった20年3月期連結決算や、新型コロナウイルスが事業に及ぼす影響などについて言及した。会見での主なやりとりは次の通り。(氏名がない発言は、青柳社長)

 −決算についての受け止めは。

 「新型コロナはもちろん想定外。影響の程度も想定どころか、経験したこともない事態になってしまった。大変なことになったなという思いはある。ぜひわれわれグループを挙げてやらなければいけない。九州の皆さんとも手を携えながら、勇気づけながら、九州の回復を『アフターコロナ』とでもいうんでしょうか。それに向けて頑張っていかなければならないと、改めて強い覚悟をした」

 −過去のリーマン・ショックや東日本大震災、その他も試練があった。新型コロナはJR九州にどれほどの影響をもたらすのか。日本経済への影響は。

 「これまでの災害は自然災害によるものなので、ある程度、期間や地域が限定されていた。今回のコロナはエリアが日本全国、特に大都市の東京、大阪、福岡で感染が広がった。問題はいつ終わるのか、またいつ回復できるのか、どのように回復するのか予想がつかない。これまでにない災害ではないかと思う。今までのものと大きく違うと考えている」

 −大きく減収している。鉄道事業者として、本業が思うようにいかない状況にある。

 「本業をやめるわけにはいかないので、基盤としてきちっと続けていく。回復は非常事態宣言が終わったからといって、翌日から元に戻ることはない。九州の元気をどうやってつくり上げるか。知恵出しになってくるんじゃないかと思っている。地域の皆さんと一緒になって、元気を作っていきたい」

 −特別損失75億円の内訳は。

 岩崎正俊財務部長「内訳は、JR九州高速船の減損61億円を計上。それ以外で大きな損失は災害の損失で、連結ベースで13億円。令和元(19)年梅雨前線豪雨による影響が一番大きい」

 −キャッシュ(現金)を確保しないといけない。資金調達はどうするのか。

 「現金をなんとか確保する。銀行から借り入れの準備をしている。社債の発行も」

 森亨弘常務執行役員「まず大きく二つ考えている。長期間借りる銀行の借り入れは数百億程度。もともと進めている。数百億円の社債についても、この第1四半期中(20年4〜6月)に起債する。短期の現金についてはグループとして初めて銀行にお願いして、1200億円のコミットメントラインということである程度…。一定の金額をいつでも貸してもらえるような枠取りをした。締結済みだ」

 「いずれにせよキャッシュを切らさないことがグループ最大の目標。(グループの)1社もこぼさないようにやっていく」

 −駅ビル開発など大型の投資案件を抱えているが改めて認識は。

 「新規投資は抑制をせざるを得ない。厳しい投資計画になる。これまでに申し上げた宮崎、熊本の両駅、九州新幹線西九州(長崎)ルートの開業はやっていきたい。ただ若干、工期の遅れが出てくることは覚悟している。基本的な投資の考え方については今のところ変更はない。どんな影響がいつまで、影響するのか分からない」

 「21年3月期の業績予想は未定。合理的な予測ができたら速やかに公表したい」

 −新規投資で、長崎駅の新駅ビル投資の影響は。

 「基本的には変わってない。影響がさらに大きな問題になってくると考えざるを得ないという状況も(出てくる)。ここでは断言できない。その時は正直に回答する。それまでは、今のところ変更はないとご理解ください」

 −今後コロナが長引けば、駅ビルの規模などを見直す考えがあるという理解で良いか。

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2020/5/12 13:37 (2020/5/12 13:37 更新)
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