“巣ごもり騒音” 騒音に関する通報 過去5年間で最多 東京
2020年5月16日 19時28分新型コロナ 生活情報
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新型コロナウイルスの影響で自宅で過ごす時間が長くなる中、騒音に関する通報が先月、都内で1万7000件に上り、過去5年間で最も多くなったことが警視庁への取材でわかりました。いわば“巣ごもり騒音”の苦情が多発している状況で、専門家は「今は家にじっとしているので音から逃げられないが、住民間で関係性を作って乗り越えてほしい」としています。


警視庁によりますと、緊急事態宣言が出され外出の自粛が求められた先月の110番通報の件数は、都内は10万7483件で、去年の同じ時期より4万7556件、率にして31%減少しました。

このうち人の声やペットの鳴き声など、騒音に関する苦情の通報は1万7287件と、去年の同じ時期より4773件、38%増加しました。

1か月当たりの騒音に関する通報は過去5年間で最も多くなったということです。

新型コロナウイルスの影響で自宅で過ごす時間が長くなる中で起きる、いわば“巣ごもり騒音”の苦情が多発している状況で、「テレワークの会議の音がうるさい」「休校中の子どもが日中家で遊び回り、騒がしい」といった声が、各地のマンションの管理会社に寄せられているということです。

今月には東京 足立区のアパートで、60歳の男が「物音がうるさい」として隣人の部屋に押しかけ、刃物で切りつけて死亡させる事件も起きています。

騒音問題に詳しい山梨大学の山田伸志名誉教授は「今はテレワークなどで家にじっとしているので音から逃げられない。こうしたストレスがかかった状態は音に対して敏感になる傾向が強い」と指摘します。

そのうえで「マンションでは顔を合わさずバラバラに生活しているが、困難を乗り切るには周囲との助け合いが必要だ。住民間の関係性、コミュニケーションがとれる状況を作って乗り越えてほしい」としています。
「子どもの声うるさかった」刺殺事件も


騒音トラブルが原因とみられる事件は、大型連休中の今月4日に起きました。

東京 足立区入谷のアパートで、60歳の男が隣人の部屋に押しかけ、刃物で切りつけました。隣の部屋には60代の男性が住んでいて、当時息子夫婦と孫娘が連休で遊びに来ていました。

男は、60代男性の頭をハンマーで殴ってけがをさせたうえ、息子の腹部を刃物で刺して死亡させ、殺人未遂の疑いで警視庁に逮捕されました。

調べに対し、男は「子どもの声や物音がうるさかった。我慢の限界だった」と供述しているということです。
どう向き合えばいい?

“巣ごもり騒音”


中略

「ストレスがかかった状態は音に対して敏感になるという現象がある。外に出ることができれば、その間は音から逃れて楽になるが、今はテレワークなどで家にじっとしているので、音から逃げられない。加えて、自粛生活がいつ終わるかなかなか見えないことが状況をさらに厳しくしている」

物音を“うるさい”と感じる背景には、音の大きさのほかに、音を出している側と聞く側の日頃からの関係性による影響が大きいということです。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200516/k10012433301000.html?utm_int=news_contents_news-main_003