2020.05.17 16:00
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 心身の健康、認知機能維持のためには「人との交流が重要」といわれてきたのに、いまは新型コロナウイルスの影響で、それが命取りになりかねない。命を守りつつ、心身を健康に保つ方法を探りたい。

 そこで注目したのがラジオ。視覚情報がない分、脳の働きがより盛んになるという。そして何より聴く人に寄り添うような親近感が魅力。ラジオと脳の関係に詳しい加藤プラチナクリニック院長、加藤俊徳さんに聞いた。

【教えてくれた人】
◆加藤プラチナクリニック院長・加藤俊徳さん/脳内科医。発達脳科学・MRI脳画像診断の専門家として、発達障害や認知症などの予防医療を実践。脳番地トレーニングを提唱し、株式会社脳の学校を創業。昭和大学客員教授。著書に『脳を強化したければ、ラジオを聴きなさい』(宝島社)など。

 鮮やかな映像が伴うテレビに比べ、音声だけのラジオは“刺激少なめ?”と思われがちだが、さにあらず。

「ラジオを楽しむのに必要な“聴く”という行為は、テレビやスマホなどを“見る”よりもまんべんなく脳を刺激し、活性化させます」と加藤さん。

 テレビは視覚情報がメイン。画面を見ていると映像と音声が同時に入ってくるが、人の脳は視覚系と聴覚系が絶えずスイッチしていて、やはり圧倒的に視覚が優位。目から入ってきた情報は、網膜から脳の視覚野と呼ばれる部位で投影されることで“見える”。その情報をもとに理解したり、考えたりするという。

「一方、ラジオは聴覚情報のみです。視覚情報がないから視覚野が使われないかというと、そうではない。パーソナリティーが次々にしゃべっていく内容を聴いて、理解し考えるために、自分の記憶を総動員して想像します。テレビの映像に代わる“イメージ像”を描くのです」(加藤さん、以下同)

 何気なく聴いているようで、頭の中のさまざまな映像の記憶を、自ら探しに行っている。とても主体的でクリエイティブなことをしているのだ。

「ラジオを聴いて楽しむことは、実際の人との交流に近いということもできます。パーソナリティーは一方的にどんどん話すので、理解しようと一生懸命耳を傾けます。この姿勢、人づきあいでも重要なことです。ラジオを聴いていると、人と交流するのと同じような刺激があり、温かな親しみも感じるでしょう」

 聴く力は単に聴覚情報を得るだけでなく記憶、理解、思考に密接に関連している。聴く力が養われると自分の考えを伝える力、柔軟に行動する力も養われ、コミュニケーション能力も上がるという。

 逆にテレビやスマホなど視覚情報主体の現代人、また独居などで交流が少ない高齢者は聴く力が衰え気味。“もの忘れが多い”“他人の気持ちが理解できない”“怒りやすい”といった症状も、その表れだと加藤さんは指摘する。

「テレビやスマホなどは情報量が多いように見えて、脳は受け身になりがち。特に高齢者はつけっぱなしのテレビを漫然と見ていると刺激どころか聴く力を衰えさせることにもなります。ぜひラジオをおすすめします」

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