ピークを越えたように見える新型コロナウイルスの感染について、広島大の山本民次名誉教授(環境予測制御学)は、「自粛」を続けると7月上旬にいったん収束すると予測する。流行状況を解析し、1カ月前から「接触の8割削減」を実現できていたと説明する。経済活動が活発になっても各自が手洗いやマスク着用をすれば、感染者は減っていくとみる。

 山本名誉教授は、全く予防策を講じないときは感染者1人が2・5人にうつすと設定し、潜伏期間を5日間、発症から自然治癒までの期間を10日間として解析した。5月10日までに、実際に検査で確認された感染者と死亡者のデータ、入国の状況、治療による回復過程なども数式に組み込み、国内初の感染者が出た1月15日から6カ月間について計算した。

 この解析から、緊急事態宣言が全国に出された4月中旬には1人の感染者が感染させる人数は既に0・2人程度で「接触の9割削減」を達成していたとみる。計算で求めた各時点の感染者は「実際の数にほぼ合っている」と山本名誉教授。4月30日のピーク時の実測値が計算値より低くなったのは、感染者を早く見つけて治療するようになり、感染が広がりにくくなったためとみる。

 「自粛」を続けると7月7日には全国の感染者はピーク時の1%の約100人となり、感染はほぼ収まる計算になる。その時までの死者は約840人と予測する。

 しかし今後は、経済活動が活発になり、接触機会が増える。山本名誉教授は「実際の収束は先に延びる可能性は高い」とする一方、「これまで通り、手洗いと消毒、マスク着用など感染予防策を続ければ、医療崩壊を招くような爆発的な患者の増加は防げる」と見込む。

中国新聞デジタル 5/20(水) 13:30
https://news.yahoo.co.jp/articles/07ebbd1362a2c4ecf71c1c5336794b64490cf9b1