2020年5月29日 15時14分 NHK↓
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200529/k10012450291000.html

10年前、東京の慶応大学病院で、心臓の手術を受けた生後3か月の女の子が医師らのミスで脳に重い障害を負ったとして、両親らが賠償を求めた裁判で、東京地方裁判所は訴えを退けました。

群馬県の9歳の女の子と両親は、女の子が生後3か月だった平成22年に東京 新宿区の慶応大学病院で先天性の心臓病の治療のため心臓の手術を受けた際に、処置が不適切だったため脳に重い障害を負ったとして、病院を運営する大学側に2億円余りの賠償を求めました。

裁判で大学側は注意義務の違反はなかったとして争っていました。

29日の判決で、東京地方裁判所の中園浩一郎裁判長は「手術前の検査のやり方や手術中の処置について、医師らが注意義務に違反したということはできない」として、訴えを退けました。

※参考ソース↓
慶応大病院手術で女児脳障害 「病院の肩書に圧倒されて…」悔しさにじませる両親  2016.7.21 産経ニュース
https://www.sankei.com/affairs/news/160721/afr1607210006-n1.html

慶応義塾大学病院(東京都新宿区)で心臓手術を受けた高橋心音(ここね)ちゃん(5)の脳に重度の障害が残った問題。心音ちゃんの父、歩(あゆみ)さん(43)と母、亜希子さん(39)は「病院の肩書に圧倒されて、何も言えないままだった」と悔しさをにじませる。
 両親や代理人弁護士によると、心音ちゃんの心臓にあいていた2つの穴は、成長するにつれてふさがる可能性もある程度の大きさだった。だが、「うちにはトップクラスの技術がある。成功率97%の手術だ」などと勧められ、平成22年12月24日のクリスマスイブに手術に臨んだ。
 術後、担当医から「穴はふさがった。手術は成功です」と伝えられ、安心したのもつかの間、わが子は目の前で手を振っても反応しなくなっていた。年が明け、手術から2週間ほどが過ぎても状況は変わらなかったが、担当医は「麻酔の影響でぼんやりしているだけ」と繰り返した。
 脳に障害が残ると伝えられたのは、手術から約1カ月後の23年1月。病院の会議室に出向くと、担当医や小児科医らがそろい、「手術中に脳に酸素が行きわたらず、低酸素性虚血性脳症になった」と言われた。「なぜ心臓の手術で脳に障害が残るのか」。納得のいく答えは得られないまま、翌日には一般病棟に移され、退院をせかされるようになった。
 心音ちゃんは自宅の布団で寝たきりの状態でいる。食べ物を飲み込むこともできない。病院側は当初、「子供の脳には無限の可能性がある」と機能回復を見込む説明をしていたが、別の病院では「難しい」と言われた。
(中略)
 手術中に何があったのか。専門医や医療過誤の被害者家族から意見を聞いた。慶大病院からも治療経過の資料を取り寄せた。「3つ目の穴をふさぐために入れた送血用の管が、脳への血流を阻んだに違いない」。気付いたときには手術から5年が過ぎていた。
 歩さんは言う。「訴訟提起は親としての義務を果たすため。同時に、同じことを決して繰り返してはいけないという思いだ」