新型コロナウイルスの感染拡大を受けた対策で、早くも今年度2度目の補正予算が成立した。政府は第1次・2次補正合わせて一般会計総額60兆円近くに上る巨費を投じ、国民に一律10万円の給付や事業者への家賃補助などを実施。家計、企業・個人事業主、医療機関を幅広く下支えする。しかし、給付をめぐってトラブルが続発するなどスピード感に欠け、コロナ禍で苦しむ人にとって支援策の実感はいまだ乏しい。
 家計支援では、国民1人当たり一律10万円を配布する特別定額給付金が1次補正の目玉となった。さらに、中学生以下の子どもがいる世帯への児童手当の6月支給分で、1人当たり1万円を追加。2次補正では、児童扶養手当を受けている低所得のひとり親世帯に5万円の給付を加えた。
 企業への支援策としては、大幅減収になった事業者への持続化給付金を1次補正で創設。ただ、与野党から支援が不十分だとの声が上がり、売り上げが急減した事業者に家賃の3分の2を半年間支給する措置などが2次補正に入った。
 また、休業手当を支払った企業への雇用調整助成金を1次・2次補正を通じて拡充。助成率を最大10割、上限金額を1人1日当たり1万5000円に引き上げた。さらに2次補正で、休業手当をもらえない労働者が直接申請できる給付金も設けた。このほか、医療従事者らへの最大20万円の給付や、医療機関への交付金の大幅拡充などの措置が2次補正で講じられた。
 ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査部長は支援策の内容について「家計や企業を救済する点で方向性は正しい」と評価しつつも、「1次補正に入れておくべきものも多い」と対応の遅さを指摘した。
 対策の執行に関しては、持続化給付金の委託経費が不透明なことやシステムトラブルによる振り込みの遅延などが問題視される。1次補正の10万円給付では給付済み世帯が全体の4割にも満たない。与党内からは「支援策の恩恵が国民全体に行き渡るのは夏すぎになる」(自民党中堅議員)との悲観的な声も聞かれた。

時事通信 2020年06月13日07時05分
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