新型コロナの感染が拡大したせいで、アクリル板が売れているという。
病院、銀行、市役所、飲食店、スーパーマーケット、パチンコ店……、今やあらゆる所で見かける。

文字通りの“特需”が起きているのだ。

アクリル板がコロナウイルスの飛散防止のために使われているのは、プラスチックの中で最も透明度が高いからだという。
それゆえ、アクリルは“プラスチックの女王”と呼ばれているそうだ。

飛沫感染を防止するためのアクリル板は、アクリルパーテーション(間仕切り)と呼ばれている。
これを最初にネットで販売したのが、アクリルショップ「はざいや」を運営している菅原工芸(本社・東京)だ。

「アクリル板は3月に入ってから注文が急増しました。4、5、6月と前年の5倍くらい売上が増えています。
“コロナバブル”ですよ。現在は品不足となっています。アクリルを製造するメーカーは国内では三菱ケミカル、クラレ、住友化学の3社ですが、
クラレは6月から価格を15%上げました」と語るのは、菅原春男代表取締役である。

「3月にネットでアクリルパーテーションを売り出したら、中国の企業の人が店に来ましてね、商品をいろいろ見ていました。
すると何日か経って、その企業がネットでうちとそっくりな商品を売り出していました。ネットにアップしている宣伝のための動画もうちとほぼ同じでした。
価格は5〜10%安くしてね。ひどい話ですよね」

アクリルや塩化ビニールなどのプラスチック製品を扱うアクリサンデー(本社・東京)によると、
「アクリル板はすぐに在庫がなくなりました。次に塩化ビニールに需要が増え、それがなくなるとペット樹脂(ペットボトルなどに使われる樹脂)、
耐久性のある透明プラスチックのポリカーボネートという具合に需要が移っています」

おかげで、元々アクリルを扱っていなかった、“異業種”も参入している。

「ゴールデンウイーク明けからアクリル板の販売を始めました」とは、飲食店向けに椅子やテーブルなどを販売するワークス(本社・大阪)の谷口満社長である。

「接待を伴う飲食店が6月19日から営業再開となりますので、それまでに届けて欲しいというオーダーが多いですね。
これまで400枚ほど販売しています。一度に160枚の注文を受けたこともあります。価格は、スタンダードなものが高さ300ミリ、
幅600ミリで税込み5000円となっています。うちは家具屋ですからスタンド部分を木製にしています。アクリルのスタンドだと安定が悪いそうです」

電光掲示板や看板などを製造販売するタテイシ広美社(本社・広島)も、アクリル板を大量に販売した。

「3月中旬からコロナ対策のアクリル板の販売を始めました。価格は5000円から1万円ですが、すでに3万枚以上売れました。」と語るのは、立石良典社長。

「最初は病院から注文がありました。最近は学校が多いですね。ある会社からの注文で、一度に1500枚売れたこともあります。イオンなど大型量販店からの注文も多いですね」
https://www.dailyshincho.jp/article/2020/06181101/?all=1&;page=1