新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出の自粛で、3歳児以降の定期の予防接種の接種率が低下傾向にあることが、日本小児科学会の分析でわかった。学会は「新型コロナが流行しても、かかりつけ医と相談しながら予定通りに接種を続けてほしい」と呼びかけている。

 外出自粛の影響が大きかったとみられる首都圏の川崎市で、市保健所から予防接種台帳に入力された月別の接種数(速報値)のデータを分析。今年3月と前年同月の接種率を比べた。

 0歳で3回接種が必要な4種混合ワクチン(破傷風、百日ぜき、ポリオなど)では、大きな変化はなかった。1〜2歳に必要な麻疹(はしか)・風疹ワクチン(MR)の1回目や4種混合の追加接種、水痘(水ぼうそう)、小児用肺炎球菌の追加接種は微減だった。

 一方、3歳児を対象とする日本脳炎の1回目の接種は35%減、小学校入学前の1年間に接種するMRの2回目は48%減と、年齢が上がるにつれて接種率は下がった。

 また、日本国内での新型コロナへの感染率や死亡率の低さとの関連が一部で指摘された結核予防のBCGワクチンは、対象とされる0歳児で約13%増えていた。

 調査の分析を担当した、聖マリアンナ医科大学小児科の勝田友博講師は「0〜1歳児は風邪や健診などでかかりつけ医を受診する機会が多く、保護者も予防接種に対する意識が高い。一方、3歳を過ぎると受診回数も減り、『子どもに体力がつき、少しくらい予防接種が遅れても大丈夫』と油断してしまい、足が遠のいたのかもしれない」とみる。外出自粛がさらに進んだ4〜5月の「接種控え」により、ワクチンで防げる病気が子どもの間で流行する懸念があるとし、「打ちそびれがあれば忘れずに接種してほしい」と話す。(熊井洋美)

朝日新聞 2020年6月26日 8時00分
https://www.asahi.com/articles/ASN6T5JMFN6LULBJ01X.html