6/30(火) 6:00配信
毎日新聞

福岡県警本部=森園道子撮影

 福岡市近海で5月、法令で認められている沿岸から沖合2カイリ(約3・7キロ)までの区域を越えて水上バイクを航行させたとして、福岡県警は、20代と30代の男性2人を船舶安全法違反(区域外航行)容疑で7月1日にも書類送検する方針を固めた。区域外航行は他の船舶と衝突したり、事故や遭難時に救助が遅れたりする危険性があり、県警は夏のレジャーシーズンを前に取り締まりを強化する姿勢を示した。

 捜査関係者によると、2人は水上バイクの30代の操縦者と20代の所有者で、福岡市東区大岳の海岸から同市西区の玄界島沖合まで、法定の区域を越えて5キロ以上航行した疑いが持たれている。船でパトロール中の県警が見つけた。2人は任意の事情聴取に応じ、違反の内容を認めている。

 水上バイクは海上を疾走する爽快感が人気で、国土交通省によると、操縦に必要な特殊小型船舶操縦士のみの免許保有者数は2018年度末時点で18万5020人と、14年度末より3割以上増えた。一方、他の船との衝突や転覆、遭難などの事故も相次ぎ、国の運輸安全委員会によると、19年は全国で34件の事故が発生し、うち2件は死亡事故になった。第7管区海上保安本部によると、福岡県内では15〜19年に計23件の事故があり、9人がけがをした。

 近年は時速100キロに達する機種もあり、福岡県警は重大事故につながりかねないとして危機感を持って摘発に力を入れる。

 水上バイク販売店などで作るNPO法人パーソナルウォータークラフト安全協会福岡支部の竹田聖也支部長は「最近増えたネットオークションでの購入者は、店頭で指導を受けないため注意事項を認識していない人もいる。規則を確認し安全な走行で楽しんでほしい」と呼びかける。【田崎春菜】

 ◇水上バイクによる近年の主な事故

2001年7月 山梨県富士河口湖町の河口湖で無免許運転で転覆し、2人死亡

2006年8月 愛知県西尾市沖の三河湾で転倒し、2人死亡

2016年5月 東京都葛飾区の中川で護岸に衝突。男性(当時43歳)が死亡、女性(同37歳)が重傷

2016年6月 福岡市西区の今宿海水浴場付近で発進時に少年(当時18歳)が転落し、重傷

2016年6月 岐阜県羽島市の木曽川で無免許運転でゴムボートに衝突し、ゴムボートの親子4人のうち10歳と3歳の兄弟が死亡

※運輸安全委員会の資料などに基づき作成

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https://news.yahoo.co.jp/articles/d3cbb28e573687278c7d3557003ec49358628d6d