ちょびひげとつぶらな瞳、ゆるキャラのような顔が特徴的な食用ナマズ「パンガシウス」。低価格で多様な料理に使える万能な白身魚で、ベトナム南部のメコンデルタから世界に輸出される。
枯渇が危ぶまれるウナギなど水産資源の代替としても期待が高まっている。

東南アジアのメコン川流域などに広く分布し、ベトナムでは「チャー」「バサ」と呼ばれる。従来は地元で食されるのみだったが、低コストかつ短期間で育つことからフライなどの食材として出荷されるようになった。

パンガシウスを求めて現地を歩き回ると、想像以上に身近な存在だということに気づく。スーパーなどモダントレードで流通し、現地で最も安く食べられる魚の一つだ。
ホーチミン市行きの機内食のフライや、現地の夜に路上で分けてもらった鍋の具も、それらしき白身魚だった。美白効果があるとの言い伝えもあるそうだ。

ベトナムでは1990年代の米国輸出を契機に養殖が拡大し、いまやエビに次ぐ第2位の水産輸出品へと成長した。出荷先は世界中へ広がり、近年は中国をはじめとするアジア向けが増加している。

ベトナム水産輸出加工協会(VASEP)によると、生産量は6年連続で拡大し、2019年が152万トン(見込み) となった。輸出額は前年比11%減の18億1,500万米ドル(約2,000億円) だった。
米国向けが低調だった一方、香港を含む中国向けが25%増加し、全体を下支えした。

輸出額の国・地域別のシェアでは、香港を含む中国が33.0%と最大。米国14.4%、欧州連合(EU)11.7%、東南アジア9.7%、メキシコ4.6%、ブラジル3.1%、コロンビア2.3%、日本1.6%と続く。
輸出先として日本が初めて上位10カ国入りし、輸出量も増加基調となっている。

パンガシウス産業は、他国でも養殖が大規模化してきている。インドやタイ、バングラデシュ、インドネシア、中国などで生産されるようになり…

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https://www.nna.jp/nnakanpasar/backnumber/200701/feature_001/