農水省が都市住民に行った都市農業への意識調査で、約76%の人が都市農業・農地を「保全すべきだ」と考えていることが分かった。新型コロナウイルス感染症を踏まえ、都市農業が農産物の安定供給に果たす役割についても半数以上が「高まっている」と回答。コロナ禍で、農業の価値を再認識している実態が浮き彫りになった。


 農水省が5月、三大都市圏特定市の都市住民2000人を対象にインターネットで調査した。

 都市農業・農地の保全に対する考え方を聞くと、「ぜひ残していくべきだ」が37・7%、「どちらかといえば残していくべきだ」が38%で、合計75・7%の人が保全の必要性を感じていた。

 特に、人口密度が1平方キロメートル当たり5000人を超えるような大都市で、日常生活の中で農地を目にする機会がある人の方が「農地を残していくべきだ」とする意向が強かった。

 新型コロナの感染が拡大する中で、都市農業や直売所が都市住民に農産物を安定供給する役割について聞くと、役割が「大いに高まっていると思う」「ある程度高まっていると思う」人が50・2%に上り、半数を超えた。農水省は移動制限や自粛生活の中で、新鮮な農産物が購入できる直売所や農業が近くにあることの良さが再認識されたとみる。

 都市農地は、火災時は延焼防止、地震時には避難所・仮設住宅の建設用地になるなど多様な役割を果たしている。調査では都市住民の約82%が防災協力農地が「必要だと思う」と回答した。災害時に期待する役割は、緊急避難場所(66・5%)、農作物の供給(52・6%)、生活用水の供給(47・7%)が上位を占めた。
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