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 2027年の開業を目指してJR東海によって建設が進められているリニア中央新幹線だが、ここへ来て通過する静岡県部分の着工がストップするという事態に陥っている。地元・静岡県の川勝平太知事がリニア建設への協力の「代償」を要求するなど、現時点での着工に新たな条件を要求しつつあるからだ。

 このリニア中央新幹線のルートと静岡県の関係だが、地図の上では県の突端部を「かすめる」だけとなっている。だが、県としてはこの部分に建設予定の、南アルプスを横断するトンネルが大井川の水系に影響を与えるほか、地元では工事車両の通行など負担を強いられるとしている。そこでJR東海は、トンネルからの湧水を大井川へ戻すための導水路トンネルを造るといった対策を、静岡県に対して具体的に提案している状況だ。そこへ改めて追加の「代償」が要求されたというわけだ。

 川勝知事の発言はその都度変化しており、現時点では具体性を欠いている。ある時には、「代償としては中間駅を建設する場合の平均額ぐらい」という目安が示されたことがあった一方で、「南アルプスに値段をつけるなどとんでもない」などという言い方で要求を曖昧にしたこともあった。

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https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1907/23/news015.html

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 「もしも(環境に)損害を与えた場合に、その代償措置というものをだいたいどのぐらいに当たると思われますかね。(中略)東京、神奈川、山梨、岐阜、長野、愛知それらの所にはすでに工事が入っていますので、そこで地元に対して、要求に応じた形で駅を造るお金を支払われていると思いますけれども、その(駅の新設費用)全体の平均ぐらいは、額(代償措置のこと)としては目安になるんじゃないかと思いますね」(静岡県公式ホームページ「ふじのくに」より)

 川勝知事は、環境に影響があると判明する前から、環境が悪化した場合の「代償措置」として、「リニア新駅設置額」相当を要求しているのだ。一説によると、リニア新駅の建設費用は800億円といわれる。のちに川勝知事は定例記者会見の内容について「代償は要求していない」と釈明したが、代償の要求は長年にわたって公言し続けてきた。

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https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1910/03/news005_5.html