新潟県の離島、佐渡島で22日、初の新型コロナウイルス感染が確認された。感染者は7月中に島外への渡航歴はなく、島民の間で不安が広がっている。島外に住む娘の帰省を「だめだっちゃ」と断り、島外に出たら知人と会うのを自粛するなど感染防止策を徹底してきた島民たち。一方で4連休には観光客も多く訪れ、「今後、広がるのが怖い」と懸念している。
佐渡市出身で東京都在住の女性(65)が7月上旬、佐渡に住む90代の母親に「お盆に帰ろうか」と電話すると、「帰ってくるな」と強く断られた。

 母親は週2回、デイサービスに通っているが、島外の人と接触すると2週間通所できなくなるという。「楽しみにしているデイサービスに通えなくなったら困る」という理由のほか、この時はまだ感染者が出ておらず、「1人目になりたくない」という思いもあったという。島民の多くが感染防止策を徹底しており、「島外の病院を受診したから」と2週間自宅にこもって知人に会うのを自粛した人もいるという。

 佐渡島は、新潟からフェリーで約2時間半、高速船で約1時間。佐渡汽船は、サーモグラフィーによる検温で水際対策を行っている。例年、夏はキャンプや海水浴、釣りの客が多く訪れるが、今年は祭りなど多くのイベントが中止に。感染者が確認されたことで、海水浴場も当面中止になった。

 島内で飲食店を営む60代女性は「佐渡の人たちは、感染したら困るという思いで、こんなに努力してきたのに」とため息をつく。「感染した人は島外に出ておらず、経路がわからないので怖い。4連休中は、県外からの観光客が多く訪れた。観光客が来てくれるのは店としてはありがたいが、感染が広がるのも怖い。初の感染者が出てこの先の予約はキャンセルになってしまい、今後の売り上げが心配な一方で、これ以上感染が広がってしまうのも……」と話す。

 店はこまめに換気し、テーブルを消毒したり席を離したりと感染防止に努めているが、「苦労が多い」と頭を抱える。

 島内の感染症専用病床は佐渡総合病院の4床のみだが、県は感染者が増えれば一般病床で受け入れる方針だという。それでも、「病院は少なく、心配。早くコロナが収まって、観光客も来られるようになってほしい」と話した。

(最終更新 7月27日 17時46分)
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