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 新型コロナウイルスに感染した青森市の男性警察官が、検査呼び掛けに応じないまま青森県十和田市に出張し飲食店を利用したため休業を余儀なくされた、同市のクラブ「モレナ」オーナーの伊藤芳恵さん(59)と居酒屋「旬彩 和海(なごみ)」代表の安西直軌さん(29)が28日、東奥日報取材に応じた。2人は2週間、健康観察のために他人との接触を避け、28日まで臨時休業をすることになった。伊藤さんは「感染の可能性があると知りながら来店した」、安西さんは「接触を認め、自覚した行動を取らなかった」と憤り、損害賠償を求め法的措置も視野に入れているという。

 男性警察官は8日、感染した接客業女性と接触。青森市からの検査呼び掛けに応じないまま過ごした。14日に十和田市内で飲食。15日夜、男性警察官の陽性が判明した。

 濃厚接触者となってしまった伊藤さんによると、感染者1人を含む警察官5人は14日午後9時すぎに来店。同10時半ごろ退店した。16日午後4時半ごろ、上十三保健所からの電話で事態を知った。伊藤さんら店で接客した従業員4人は17日にPCR検査を受けたが、いずれも陰性。

 伊藤さんは国の緊急事態宣言発令(4月7日)を受け、約50日間店を休んだ。営業再開後、客足が戻ってきたところでの「もらい事故」(伊藤さん)だった。売り上げは激減し、今後の対応について弁護士に相談する予定。

 一方、安西さんには16日午後5時ごろに保健所から連絡が入った。PCR検査を希望したが、1メートル以内、10分以上の接客に該当しない−との理由で、従業員を含めて検査をさせてもらえなかった。安西さんによると、検査を拒否したなどとうわさが立ち、風評被害を受けたという。

 伊藤さんは、関係機関の連絡の遅さや情報公開の曖昧さによる風評被害を指摘。その上で「(感染者との)接触を知らずに出歩くことで、被害者が加害者になってしまう。狭い田舎だからこそ、きちんとした情報発信がなされなければ店を続けていけなくなる」と問題点を挙げた。

 県警警務課によると、男性警察官は青森市内の医療機関に救急搬送後、28日現在も入院中。伊藤さんは「批判を受けることになっても隠さずに話すべきだった。一緒に来店した警察官も自宅待機になり気の毒だ。他人も自分の人生も変えてしまう影響の大きさをそれぞれが認識しないといけない」と訴えた。

https://news.yahoo.co.jp/articles/6a682924e62426f4a92b3e3447f25e69aa3a5a3