回答できる期日が来ていないので答えることができない―。5年に1度の国勢調査を巡り、京都新聞社の双方向型報道「読者に応える」のLINE(ライン)にそんな声が寄せられた。14日からインターネット回答を受け付けているが、調査票を確認すると24日以降の「未来」を尋ねる設問がある。なぜなのか、理由を調べた。

 LINEを投稿した男性が指摘する設問は「9月24日から30日までの1週間に仕事をしましたか」。回答欄には「主に仕事」「家事などのほか仕事」「通学のかたわら仕事」「少しも仕事をしなかった人」といった項目が並ぶ。さらに関連して、仕事や通学の状況を詳しく尋ねる設問が五つ続く。

 男性は、回答を進めながら日付の矛盾を感じ「はたと手が止まってしまいました」と困惑。未来を予測して答えなければならないことに、「不正確な調査」につながるのではないかとの疑問を投げ掛ける。

 総務省によると、国勢調査はちょうど100年前の1回目から「10月1日」を基準日とし、その時点の状況や経年変化を調べてきた。

 今回、書面による郵送回答の受け付け期間は「10月1日〜7日」と基準日以降のため時間軸の矛盾はない。一方、ネット回答は「9月14日〜10月7日」で、基準日から半月ほど前倒しで受け付けを始めている。

 なぜ郵送とネットで回答期間が異なるのか。同省は、ネットだけで回答できる期間を先行して設けることで、できるだけ多くの人をネット回答に誘導する狙いがあるとする。調査の負担軽減が主な目的だが、特に今回は新型コロナウイルスの感染拡大防止で接触機会を減らす意図もある。

 ただ、あらかじめ設定された基準日を変更したり郵送回答の開始日をずらしたりはできないため、基準日よりも前にネット回答を始めることにしたという。この結果、未来を予測して回答する状況が生じることになった。

 同省は「早い時期にネット回答する場合は、できる限りの想定で記入してほしい」(国勢統計課)と理解を求める。その上で正確性を高めるため、ネット回答では変更点があれば適宜修正できるようにしている。

 しかし、調査票に同封しているネット回答の利用ガイドでは「世帯員の出生や転居など回答内容に変更がある場合は、再ログインの上、修正してください」との記載にとどめている。男性が指摘する仕事に関する設問への言及はなく、分かりにくい。同課は「疑問や不明な点があれば、専用のコールセンターなどで確認してほしい」としている。

9/19(土) 10:01 京都新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/289204c9fa9a56beb69e0d0d28a450b42c7b20cb