[2020/09/23 18:06]

https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000193873.html

 地元の人たちに愛された大衆食堂が100年の歴史に幕を下ろします。

 広島県福山市のアーケード街にできた長い列。大正時代の1919年創業とされる大衆食堂「稲田屋」が最終日を迎え、集まったお客さんです。開店と同時に待ちわびた人たちが続々と店内へ。客のお目当ては、牛肉や豚肉など柔らかく煮込んだ具材をご飯にのせた「肉どんぶり」。そして、もう一つの看板メニューが「関東煮」。秘伝のタレでホルモンを甘辛く煮込み、ほんのりとした甘さが地元で愛され続けてきました。
 100年続く伝統の味を守ってきた5代目の稲田正憲さん。29年前に先代から店を引き継いだそうです。毎朝、午前5時から仕込みが始まります。特にこだわったのが肉の鮮度でした。
 大正から令和まで1世紀もの間続いてきた稲田屋。5代目の正憲さんは味を追求し、ようやく納得できるものになった一方で、長年の立ち仕事のため、体の限界を感じていたそうです。
 さらに追い打ちとなったのが新型コロナウイルスの拡大。他の飲食店同様に客足が途絶え、業績は急激に悪化しました。思い悩んだ挙句、のれんを下ろすことを決めたそうです。
 たくさんの地元の人たちに惜しまれ、最後は肉どんぶりも、関東煮も品切れとなってしまいました。