2020年の神奈川県内の交通事故死者数は9月末時点に103人で、前年同期比7人増だったことが、県警のまとめで明らかになった。県内ではオートバイ事故による死者が多いという特徴があり、20年も全体の4割近くを占める。10〜12月は例年、交通事故が増える傾向にあるため、県警はSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用して注意を呼びかけている。【池田直】

 県内の1〜3月の事故死者数は50人で、全国でワースト1位だった。新型コロナウイルスの感染が拡大した4月以降は、外出自粛の影響で事故件数が大幅に減った。しかし、6月以降は再び増加傾向に転じ、死者数は8月を除いて前年比で増加した。9月末時点で愛知県(114人)、北海道(104人)に続きワースト3位となっている。

 県内の事故死者数を押し上げているのが、オートバイ事故だ。9月末までの死者のうち、36・9%がオートバイ事故だった。19年の死者に占める割合も37・1%に達しており、高止まりしている。19年の全国平均は15・9%で、県内が全国でも突出して割合が大きい。

 県警交通総務課は「通勤や通学に使う人が多いことが要因だ」と分析する。県内のバイク保有台数は29万8836台(18年3月末時点)で、全国で東京に次いで2番目に多い。また、県内や隣県の観光地へのツーリングで通行する他県のライダーも多いことも一因とみられる。

 安全運転の啓発活動を進めたい県警だが、新型コロナの影響で例年と事情が異なる。大勢の人を集めてイベントを開催することが難しく、交通安全運動の周知にも苦戦している。そこで県警が力を入れているのがツイッターを使った情報発信だ。

 投稿しているのは交通総務課。例えば、オートバイ運転について「遅れても無理に追いつこうとしない」といった集団ツーリングの際のアドバイスや、単独事故につながる速度超過の危険性を紹介。また、オートバイ用エアバッグを実際に膨らませる動画を公開し、装着を呼びかけているエアバッグやプロテクターの周知も進めている。同課は「一度発信した内容でも、見方を変えて注意喚起していきたい」という考えで投稿を続けており、ツイート数は1300件を超える。

 日照時間が短くなる10〜12月は死亡事故が増える傾向にあり、19年は年間死者の3割近くを占める36人に上った。同課は「投稿で発信した情報を参考に、ゆとりを持った運転を心がけてほしい」と呼びかけている。

交通事故死者数の多い都道府県
  都道府県  死者 オートバイの死者 割合

1位 愛知県 114人   20人 17.5%

2位 北海道 104人   24人 23.1%

3位 神奈川県 103人  38人 36.9%

 ※1〜9月。各都道府県警への取材に基づく


毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20201008/k00/00m/040/030000c