がん患者の痛みを減らせるよう、国は緩和ケアの普及を推進していますが、
亡くなる直前まで痛みを感じていたがん患者がおよそ40%に上るとみられることが、
国立がん研究センターが遺族を対象に行った調査で分かりました。

センターは緩和ケアの質を高めることが必要だなどとしています。

国立がん研究センターは2017年にがんや心不全、脳梗塞などで亡くなった患者の遺族およそ5万人を対象に、
亡くなる1か月前からの患者の状態を聞く大規模な調査を初めて行い、およそ2万1000人から回答を得ました。

この中で、亡くなる直前まで痛みがあったと推定されたのはがんでは40.4%で、
心臓病の25.3%、脳梗塞などの22%などと比べ多かったとしています。

また、がん患者の遺族では気持ちのつらさを抱えていたとみられる人も42.3%に上り、
心臓病の27.5%、脳梗塞などの25.9%などより多くなっていました。

がん患者が痛みを抱えていた理由として、ある程度は対処してくれたが不十分だったとか、
診察回数や診察時間が不十分だったといった回答が多くなっていました。

その一方で、人生の最期をどこで迎えるかについて、患者と医師の間で話し合いがあったと答えたのは36.5%と、
他よりは多いものの、亡くなる前に医師や家族と話し合いをしている患者はまだ限られているとしています。

がん医療支援部の加藤雅志部長は「現場の医師に緩和ケアの専門性をより高めてもらうこと、
それに、患者に積極的に話してもらえるような環境を作ることが必要だ」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201031/k10012689591000.html

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