特捜検事の接見妨害認定 国に10万円賠償命令 任意の取り調べ中・東京地裁
11/13(金) 17:41配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/ed848ee7933d105e58862ac5019f616059555741

 東京地検特捜部が業務上横領容疑で捜査対象とした男性を任意で取り調べた際、検事から接見を妨害されたとして、男性の弁護士が国に200万円の賠償を求めた訴訟の判決が13日、東京地裁であった。

 前沢達朗裁判長は「弁護権を違法に侵害された」と認め、国に10万円の慰謝料を支払うよう命じた。

 原告の桜井光政弁護士によると、任意の調べで接見妨害が認められるのは異例。任意捜査の在り方について、議論を呼ぶ可能性がある。

 男性は特捜部に同容疑で逮捕、起訴された幸田大祐被告(42)。判決によると、幸田被告は昨年11月、東京地検に呼ばれ、任意の取り調べを受けた。被告の妻から弁護依頼を受けた桜井氏は同地検を訪問。被告に面会する意思があるか確認するよう求めても、検事は適切ではないなどと否定的な姿勢を示し、計約2時間にわたり接触を認めなかった。その間に被告は自白調書に署名、押印したという。

 前沢裁判長は、任意の取り調べであっても、弁護人との面会機会は身体拘束を受けている場合と同様に与えなければならないとし、検事は弁護士の来訪を被告に伝える職務上の義務があったと認定した。

 その上で、取り調べの間に自白調書が作成された点について「弁護士の立場からすれば、接見の機会を奪われたに等しい」と指摘。「捜査機関は任意の取り調べの継続を理由として接見を拒むことはできない」とし、検事が面会を制限した行為を違法と判断した。

 判決後に都内で記者会見した桜井氏は「検事が功を焦ったのではないか。おごりがある」と批判。幸田被告も「弁護士と接見していれば自白調書に署名はしなかった」と述べた。

 東京地検の山元裕史次席検事の話 誠に遺憾。上級庁と協議して適切に対応したい。