【カイロ=久門武史】アフリカ南部のザンビアは13日、同日が支払期限だったドル建て国債の利払いをせず、デフォルト(債務不履行)状態となった。新型コロナウイルスで返済に窮し、債権者が利払いの繰り延べに応じなかった。新型コロナの流行以降、アフリカで初のデフォルトとなる。


ザンビアはドル建て国債の4250万ドル(約45億円)の利払いが期日の10月14日にできず、11月13日が利払い猶予期間(グレースピリオド)の最終日となっていた。同国財務省は13日「債権者がザンビアの要請に応じなかったのは遺憾だが、債務の持続可能性に関する解決に向け取り組む」との声明を出した。引き続き国際通貨基金(IMF)と協議する方針だ。

ザンビアのウィナ副大統領は13日「デフォルトには陥らない」と議会で強調したが、ヌガンドゥ財務相は同日、利払いはしないとの認識を示した。ロイター通信が伝えた。

財務省は9月、新型コロナを理由に、満期の異なる計30億ドルのドル建て国債について利払いを来年4月まで猶予するよう求めた。債権の計4割を握る債権者団が拒み、13日もこの姿勢を崩さなかった。中国への債務返済を優先するのではないかとの懸念から、ザンビアに対中債務の情報開示を求めていたとされる。

ザンビアの対外公的債務は6月末時点で120億ドル。世界銀行の統計によると、対中債務残高は2019年末時点で34億ドルと、15年末から2倍強に膨らんでいた。

ザンビアは新型コロナが財政の重荷になる前から、債務膨張の危うさが指摘されていた。IMFによると、公的債務残高の国内総生産(GDP)比は10年の19%から20年は120%に達する見通しだ。通貨は対ドルで年初から3分の1下落した。

銅の生産量がアフリカ2位という資源国だが、輸出収入は市況に大きく左右され不安定だ。同国のルング政権は積極的なインフラ投資を進め、国債の発行や中国などからの借り入れで賄ってきた。

中国の融資に頼るのは、アンゴラやケニアなど他のアフリカ諸国にも共通する構図だ。中国の広域経済圏構想「一帯一路」による巨額のインフラ開発が背景にある。

ザンビアのGDPは270億ドル(18年)と経済規模は小さいが、アフリカの周辺国は同国の債務処理を注視している。新型コロナが猛威を振るう中、同じように重い債務に悩む資源国や新興国に不安が広がる可能性もある。

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