国の予算執行の無駄や事業の効果を点検する「秋の行政事業レビュー」は15日、再生可能エネルギーや薬価算定のプロセスなどについて議論し、公開検証の全日程を終えた。4日間で13分野を議論し、高速実験炉「常陽」(茨城県)の再稼働に「待った」をかける厳しい提言も出されたが、全体としては効率化や改善を促す程度にとどめる内容が目立った。今後は来年度予算案にレビュー結果がどのように反映されるかが焦点になる。【田辺佑介、原田啓之、高橋祐貴】

「そこだけはっきりして」詰め寄る河野氏

 4日間では各分野への改善要求が相次ぎ、会場の空気が張り詰める場面もあった。レビュー3日目の14日、日本原子力研究開発機構が再稼働を目指す「常陽」(茨城県)について、所管する文部科学省の担当者が説明している時だ。「ちょっと待って。話をそらすなよ」。河野太郎行政改革担当相が口を挟み、使用済み燃料の保管の年限などを示した地元との合意がない点を追及。「地元に何年、何十年保管できるのか。『(福井県の新型転換炉)ふげん』のように、『置けないからよそへ持ち出します』ということを繰り返すなよっていうのがこの論点。そこだけはっきりして」とたたみかけた。

 5年前の2015年、河野氏が前回の行革担当相当時のレビューでやり玉に挙げたのが、廃炉が決まっている「ふげん」の使用済み核燃料を運ぶための輸送船「開栄丸」だった。開栄丸は、燃料の最終的な取り扱いが決まらないまま導入されたが、ほとんど利用されずに棚ざらしとなっている。常陽でも、使用済み燃料の扱いが決まらないまま再稼働を進めようとする姿勢に、当時の怒りがよみがえったようだ。

薬価算出方法の透明化も要求

 15日には公的医療保険が適用される医薬品の公定価格「薬価」の決定プロセスが取り上げられ、透明性に関する指摘が相次いだ。薬価を審議する厚生労働省の諮問機関「薬価算定組織」は委員名簿や、製薬会社からの寄付など委員の利益相反に関する情報が非公開だからだ。

 有識者の土居丈朗・慶応大教授が「(情報公開)請求がないと公開しないというのでは筋が通らない。… 残り1580文字(全文2455文字)

毎日新聞2020年11月15日 21時34分(最終更新 11月16日 01時25分)
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