【ワシントン時事】トランプ米大統領は26日、来月の選挙人投票で大統領選の敗北が確定した場合、来年1月のバイデン次期政権発足に伴い退任する意向を表明した。退任後に「民間人」となるトランプ氏をめぐっては、税法違反などで自身や周辺が刑事訴追の対象となる可能性が取り沙汰されている。一方で再登板を目指し、2024年大統領選に挑戦するとの観測も浮上している。

 連邦の捜査機関を管轄する司法省は、慣例として現職大統領を訴追対象としていない。ロシア疑惑捜査を指揮したモラー特別検察官(当時)も、トランプ氏立件は「検討し得る選択肢ではなかった」と説明する。さらにトランプ氏は、訴追されても大統領には自身に恩赦を与える「絶対的権限がある」と主張するが、退任後はそうした「特権」を失うことになる。
 ニューヨークのマンハッタン地区検事は8月、トランプ氏と一族企業に関連した「幅広い犯罪」の疑いについて捜査していると明らかにした。検察は当初、トランプ氏が就任前に元不倫相手へ払った「口止め料」をめぐる疑惑を捜査していたが、米メディアは、一族企業の所有する不動産が不当に税控除を受けた疑惑などにも捜査対象が広がっていると伝えている。
 また、トランプ氏に対しては少なくとも2人の女性が、過去に性的暴行を受けたと名乗り出た。いずれも時効が成立しているため、刑事訴追の対象にはならないが、女性側は疑惑を否定するトランプ氏から不当な中傷を受けたとして、名誉毀損(きそん)訴訟を起こしている。
 一方、ワシントン・ポスト紙は最近、トランプ氏が「退任しても政界やメディアへの影響力を維持したい」という意向を側近に漏らしたと報道。24年大統領選での再挑戦を視野に入れているとの観測が広がった。同紙は、トランプ氏が講演会や有料の集会、自叙伝出版などを通じた資金集めを模索しているとも伝えた。
 米国では1888年の選挙で再選に失敗したクリーブランド大統領が、4年後の選挙で返り咲きを果たした例がある。トランプ氏は26日、24年大統領選への対応を問われ「まだずっと先の話だ」と言葉を濁した。

JIJI.com2020年11月28日07時18分
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