全日本空輸(ANA)を傘下に持つANAホールディングス(HD)は、成田、羽田空港に所属する客室乗務員(CA)約8000人を対象に、希望者には来年4月から地方居住や副業を認める時限的な制度を導入する方針を固め、労働組合に提案した。

 勤務日数を従来の半分に減らすことを条件とする。CAの大半は現在、規則で両空港の近くに住んでいるという。新制度の導入で人件費を抑制し、柔軟な働き方を認めることで雇用の確保を図る。

 このほか経営側は、国際線や国内線のCAに対し、勤務日数を従来の5〜8割に減らす一方で、給与も従来の50〜75%とする働き方を任意で選べるようにする案なども提案している。こうした制度の導入を巡り、労使で今後協議する。

 ANAHDは、世界の航空需要がコロナ禍前の水準に戻るのは2024年と見込んでいる。感染が収束すれば旅客需要は戻るとみて、大規模な人員削減は実施しない方針を示している。時限的な制度は、社員を自社につなぎとめる狙いもある。

 ANAHDは、新型コロナウイルスの感染拡大で旅客数が激減し、21年3月期の連結最終利益が5100億円の赤字となる見通しを示している。固定費の約3割を占める人件費の削減が急務となっており、CAを含むグループ社員は一時帰休などで既に給与が大幅に減っているとみられる。

2020/11/29 00:19
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20201128-OYT1T50219/