窓口負担2割「年収170万円以上」 後期高齢者医療で検討―政府
2020年12月03日07時23分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020120300001&;g=pol

 75歳以上の後期高齢者が医療機関で支払う窓口負担をめぐり、政府が課税所得のある年収170万円以上の人を現行の1割から2割に引き上げる方向で検討していることが2日、分かった。対象者数は約520万人。4日にも開かれる政府の全世代型社会保障検討会議で提示する見通しだが、公明党は結論先送りを求めており、情勢は流動的だ。

 現在、75歳以上の窓口負担は、現役並みの所得がある年収383万円以上の人は3割、残りは1割負担となっているが、3割負担の人は7%にとどまる。団塊の世代が75歳以上になり始める2022年度以降、医療費は急増する見通しで、後期高齢者医療の支援金を拠出している現役世代の負担抑制が課題となっていた。
 「年収170万円以上」とする政府案では、所得上位38%が対象となる。厚生労働省は先に、負担増の対象について(1)年収240万円以上(2)同220万円以上(3)同200万円以上(4)同170万円以上(5)同155万円以上―の5通りの試算を示していた。比較的広く引き上げることで、現役世代の負担軽減につなげたい考え。軽減額は約1220億円となる見込みだ。
 ただ、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、衆院解散・総選挙も見据え、与党内には高齢者の負担増への慎重論が根強い。公明党の山口那津男代表は1日、「今年結論を出すのはいかがなものか」との考えを表明。自民党内にも対象者の絞り込みや決定の先送りなどを求める意見があり、結論が得られるかは不透明だ。