伊豆諸島の御蔵島(東京都御蔵島村)で繁殖する準絶滅危惧種のオオミズナギドリが、野生化したネコ(ノネコ)に捕食される被害が相次いでいる。ノネコ1匹に年間平均で313羽捕食されているとの推定結果を、森林総合研究所(茨城県つくば市)などの研究チームが発表した。同研究所は「貴重な一大繁殖地が危機に直面している」と警鐘を鳴らしている。

オオミズナギドリは南半球と日本の離島などとを移動する渡り鳥で、羽を広げると約1・2メートルになる。東京都心から南へ約200キロ・メートルに位置する御蔵島には春頃、繁殖のため飛来する。同研究所によると、1970年代後半には175万〜350万羽いたと推定されるが、近年は約10万羽に激減。国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで、準絶滅危惧種に指定されている。

 チームは2016〜17年、島内でノネコのフンを集めて分析。繁殖期(3〜11月)に採取した82個の約8割から、オオミズナギドリの羽毛や骨が見つかった。さらに、哺乳類が1日に必要とするカロリー量などに基づき、ノネコ1匹あたりの年間捕食数を求めた。

 オオミズナギドリは警戒心が薄いうえ、地上から飛び立つことが苦手な鳥だ。このため、島で2000年代以降増えたとみられるノネコに狙われてきたという。ノネコの捕獲や島外への持ち出しが進められているが、解決には至っていない。

 チームはノネコの生息数を調査中で、被害の全体像を明らかにする方針だ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d33b34b4e34dc3df31d65c4f04178d7196230513