新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、国が年末年始の「Go To トラベル」一時停止を12月14日に発表して以降、福井県あわら市の温泉旅館で宿泊キャンセルが相次いでいる。市のまとめで、収容人数100人以上の温泉旅館で合わせて約3500件、約1万3千人に上っていることが21日分かった。

 調査は年末年始(28日〜来年1月11日)のキャンセル状況について、あわら温泉旅館21軒を含む、市内の温泉旅館22軒を対象に実施。16軒から20日までに回答があった。

 グランディア芳泉は「Go To トラベル」が始まり、11月の売り上げが前年同期比約130%と好調だった。だが、一時停止が発表された後は1日300〜400人のキャンセルが続出し、総数は約2600人(21日時点)となっている。山口高澄常務は「特別なおもてなしを用意していただけに残念。従業員のシフトを調整し、コロナ対策を万全にして営業していく」と話した。

 つるやでは1月末まで予約が埋まっていたが、第3波の広がりでキャンセルが増え始めた。平山泰弘社長は「年末年始は地元や常連客の予約が残っているが、1月4日以降の予約は9割消えた」と頭を抱える。「一時停止の期間が延長されれば再度休業もあり得る」としている。

 白和荘でもキャンセルへの対応に追われ、問い合わせの電話も県内外から連日数十件かかってきている。立尾清美女将は「春休みやゴールデンウイークに期待するしかない」と声を落とした。

 市観光協会の米由誠事務局長は「年末年始は、かに料理が付いた3、4万円のプランを主力としている旅館が多く、客単価が高いだけに大きな痛手」と話す。さらに「地域共通クーポンの利用が減ることや、旅館に海産物や農産物を卸している業者への影響も想定される」として、地域経済の停滞を危惧(きぐ)している。
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