使用済み紙おむつを燃料にする実証事業の施設が23日、新潟県十日町市に完成した。福祉施設で出た紙おむつから固形燃料のペレットを製造し、福祉施設で熱源として再利用する。市が進めるエネルギー地産地消の取り組みで、さらに保育園での回収も目指すなど、資源循環の取り組みを広げたい考えだ。【新井敦】

 紙おむつの燃料化は市が2014年度から検討してきた。紙おむつは水分を大量に含むため、焼却処分すると焼却炉への負荷が大きい。高齢化に伴い紙おむつは今後も増え続ける見通しで、処理方法が課題になっている。

 事業では、十日町福祉会(同市水口沢)が運営する市内3カ所の福祉施設から使用済み紙おむつを回収。市のごみ焼却場「エコクリーンセンター」に新たに整備した紙おむつ燃料化装置で、おがくずを混ぜてペレットに加工する。ごみの焼却熱を使い、180度の熱風で16〜18時間かけ乾燥・滅菌する。市によると、ペレット製造工程で、紙おむつの乾燥の際に化石燃料を使わず、ごみの焼却熱を有効利用する方式は国内初という。

 ペレットは福祉会が運営する高齢者福祉施設「三好園しんざ」(同市新座)に設けたバイオマスボイラーで燃やし、施設内の給湯などに利用する。

 市は事業の実施先を公募し、福祉会と事業契約を結んだ。燃料化装置やボイラーなどは市が整備し、使用料を福祉会が負担する。事業費は約2億6000万円で、国から1億円の補助を受けた。

 市は、紙おむつ回収量を年間約120トン、ペレットの製造量は同約70トンを見込む。実証期間は4年間で、紙おむつ処理費や化石燃料の消費量の削減効果などを調べる。市は今後、市内の保育園でも紙おむつ回収を進める計画だ。

 十日町福祉会の村山薫理事長は「これまで廃棄物として化石燃料を使って処理していたので、じくじたる思いがあった。実証事業でエネルギーに再生利用できるようになり、効果に期待している」と話した。

https://mainichi.jp/articles/20201225/k00/00m/040/073000c
2020年12月25日 12時46分