宮城県松島町の「ホテル絶景の館」は、停止期間の予約のうち半数以上の約170件がキャンセルされた。損失は1100万円超。宿泊者が少なくなった6〜8日の休館を決めた。政府の停止表明まで、三が日は満室状態だったという。

 無料キャンセルの期限は27日で「期限が宿泊日に近すぎ、既に仕入れてしまった食材もある。もっと前もって発表してもらわないと困る」と石川勇太社長。停止期間中のキャンセルに対し、政府は旅行代金の50%を補償する。「助かるが、50%では正直厳しい」と漏らす。

 松島湾を巡る遊覧船を運航する松島島巡り観光船企業組合(松島町)と、丸文松島汽船(塩釜市)は、元旦の「初日の出クルーズ」の団体客400〜600人の予約が軒並み消えた。

 同組合の高野裕太理事は「売り上げの半分がGoToの客で、打撃は大きい。ただ、感染者が増えている状況で1月12日のGoTo再開も難しいのではないか。書き入れ時の4、5月に戻ってくれれば」と語る。

 仙台市太白区の秋保温泉のホテル佐勘も31日、1月1日の宿泊予約が半分近くキャンセルとなった。3日以降はさらに落ち込む見通しという。広報担当者は「感染拡大で休館した春ごろの状況に近く、再び休館の決断を迫られるような段階まで来ている。一時停止期間が長引くのは怖い」と不安を口にした。

 農協観光宮城支店(仙台市)は、元日に予定していた富士山などの眺望を楽しむ仙台空港発着のチャーター機による遊覧飛行を取りやめた。

 定員91人に対し、予約はほぼ満席だったが「GoToを織り込んだツアーで、見合わせざるを得なかった」と坂本直人事業課長。主力の団体旅行が低迷する中「コロナを吹き飛ばせ」との思いで企画したが、広告費や既に用意した記念品などで100万円以上の赤字が生じる結果となり「痛い」と声を振り絞った。

仙台の商店街 催し中止「予想外」
 「Go Toキャンペーン」の停止は「Go To 商店街」事業にも及ぶ。仙台市若林区の荒町商店街振興組合は22日に始めたイルミネーションを28日から一時消灯。佐藤隆俊理事長(59)は「一律中止は予想外。急ブレーキで困惑している」と話す。

 事業採択は宮城県内で8カ所にとどまる狭き門だった。補助金300万円を活用し、商店街の3カ所でのイルミネーションのほか、抽選会やマップ発行、リモート合唱大会など多彩なメニューに取り組む。

 キャンペーンの停止決定後、GoTo商店街事務局とのやりとりで消灯を決めた。1月12日には再開させる予定だが、感染拡大が止まらず停止期間が延長されれば、同16日に開催する抽選会にも影響する。佐藤理事長は「『三密』は避けられるメニューなので個別に見てほしい」と願う。

河北新報 2020年12月29日 12:03
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