※12/31(木) 10:01 現代ビジネス

 2020年7月に体制を一新した検察の動きがめざましい。東京地検特捜部を軸に、政権・前政権への捜査が次々へ繰り出されている。

 まずは安倍晋三前首相の「桜を見る会」の前夜祭にかかわる事件だ。病気を理由に退陣したはずの安倍前首相の政治活動が活発化した11月末、東京地検特捜部は、マスコミへのリークで政治資金規正法、公職選挙法違反の容疑で安倍氏を捜査対象としていることを公にした。

 特捜部による捜査は安倍氏の首相退陣直後の10月から始まっており、同氏の秘書らに加えて支援者らの取り調べにも着手、その数は20名を超えていることも明らかにした。本格的に捜査をしていると示したわけである。

 もっとも、すでにこの時点から、いわゆる形式犯のような結果に終わると見られていた。それというのも、前夜祭に招待した後援者らの飲食代を補填したのは、厳密には公職選挙法違反であり、さらに補填したことを政治資金収支報告書に記載しなかったのは政治資金規正法違反であったが、はなから特捜部は軽微な後者の容疑での捜査に軸足を置いていたからだ。前者で有罪となれば、安倍氏は公民権停止になりかねず、政治生命にもかかわるが、こちらはやらないという方針であった。

 こうした特捜部の姿勢に対し、捜査関係者の間で「いまさら、しかもこの体たらくか」との批判の声が上がった。だが、これには深慮遠謀があったようだ。というのも、12月に入ると、特捜部は自民党二階派幹部で、安倍政権で農水相も務めた吉川貴盛氏にかかわる捜査を行っていることも明らかにしたからだ。

「検察介入」の恨みを晴らす
 吉川氏に対する容疑は贈収賄だった。農水相としての職権が絡む事案で、鶏卵業者から多額の現金を受け取った見返りに便宜を図っていたのではないか、というものだ。受け取った現金について、政治資金収支報告書に記載していない点も問題になっている。政府関係者が語る。

 「この捜査の端緒は、実は検事総長が代わった7月に行われた家宅捜索だった。つまり新体制になった検察が、それまでの安倍政権による人事介入の遺恨を晴らすかのような挙に出たとみられる」

 検察への人事介入とは、ずばり林真琴現検事総長外しだった。

 事の始まりは2016年9月に遡る。当時、次期検事総長の座をめぐっては、法務省刑事局長であった林氏と官房長の黒川弘務氏とが争っていたが、検察首脳は林氏を次官に昇格させ、黒川氏は地方の高検検事長に転出させる人事案を作成した。林氏に軍配が上がったのである。

 ところが、安倍政権はこの人事案を却下。逆に黒川氏を次官に昇任させた。また、2018年1月にも上川陽子法務相が林氏の次官就任を拒み、名古屋高検検事長に転出させたのだった。

続きは↓
https://news.yahoo.co.jp/articles/e7f22aa3dd7cfcf7d7301ff833bcd2da1b54bceb