[長野日報 1日]-駒ケ根市は来年度、狩猟免許の取得を支援する補助制度を創設する方針を固めた。費用の半額程度を補助する方向で調整する。同市の駒ケ根高原などでは、人間を恐れない「人なれ」したニホンザルによる農作物被害が深刻化。観光への影響も懸念されることから、市有害鳥獣対策協議会を中心に対策を強化したい考えだ。

観光地の駒ケ根高原一帯に出没するサルは人に接する機会が多いため「人なれ」が進んでいるのが特徴で、県は加害レベルを最高水準の「レベル4」に位置付け。2017年度に同市の捕獲上限値を前年度の50頭から100頭に引き上げている。

同協議会はこれまでも大型捕獲おりやくくりわなの設置、地元地区や観光事業者を対象にした追い払いの講習会を開く対策を講じてきた。今年度はこれまでに市内で72頭を捕獲したが、地元の北割一区や北割二区などでは果物や野菜に加え、収穫前の米も食い荒らされるなど被害が深刻化している。

同協議会によると、捕獲に携わる駒ケ根猟友会の会員は19年12月末現在で76人。平均年齢は68歳で高齢化が課題になっている。狩猟免許の取得補助は猟友会入会を条件とし、会の体制強化を図る方針。狩猟免許の取得には諸経費を含め18万円前後が必要といい、この半額程度を支援する方向で猟友会と協議して制度設計を進める。

捕獲のほか、追い払いでも住民主体の組織的な仕組みの構築を目指しており、上在地区営農組合が具体化に向け検討しているという。

協議会事務局の市農林課は「農作物被害が続けば農家の生産意欲低下につながる。観光被害も防がなくてはいけない。猟友会をはじめ地域と連携し、被害軽減に努めていく」としている。

2021年1月1日 6時00分
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