エル・ファニングやヘレン・ミレンが演じたことで話題になっているロシアの女帝エカチェリーナ2世。そんな彼女にはもっと深堀する価値のあるレガシーがある。
 コロナ禍で世界中がワクチン開発と接種の努力を続けているが、実は彼女が初期からワクチンを受け入れていたことだ。
 天然痘予防のため世界初の予防接種(ワクチンの初期バージョン)が発明されたのは、エカチェリーナ2世の治世の時代だった。


科学や啓蒙主義によって進歩したものを何でも好んだエカチェリーナ2世はこの医学革新をもろ手を挙げて歓迎し、1768年にロシアで最初に接種した人物になった。彼女は即座に接種を受けない人を「無知」と断じた。

まさに、時代を先取りしていたのだ。

この予防接種は、今でいうところの米ファイザーとモデルナ社ともいえるイギリス人医師トーマス・ディムズデールが可能にしたものだった。彼のメソッドは患者の腕を2〜3回薄く切り、天然痘患者から取った膿疱を傷口にすり下ろすという荒削りなもの。

今日の著しく進化したワクチンとは異なり、この接種を受けた人は天然痘にかかって死んでしまう恐れがあった。そのため、ディムズデールはロシア宮廷の外に馬を待たせておき、皇帝を誤って殺してしまった時はすぐに逃げられる用意をしておく必要があった。

幸運なことに無事成功し、ディムズデールにはその努力に対してロシア帝国から男爵の称号が与えられた。


その後、エカチェリーナ2世はこのいい知らせを親友のヴォルテールに伝え、予防接種反対論者を「まったくのとんでもないバカ者か無知、単なる不道徳者」とまで宣言したと『Wired』は書いている。

実際、ロシアでのこの方法には多くの恐怖がつきまとった(予防接種は非常に新しいコンセプトであり、死のリスクもあったため今日のワクチン反対運動よりは理解できる)が、エカチェリーナ2世自らが積極的に接種したことで国民の安心感につながった。

その後も安全性を強調することにより、ロシアでは1780年までに2万人が、1800年までには200万人が予防接種を受けたという。

では、ここから導き出される結論は?

第一に、エカチェリーナ2世はまさに偉大だったということ。
第二に、信頼できる著名人がワクチンを接種すると、他の人も同じことをしようと勇気づけられるということ。
第三に、新しいことなど何もなく、ほぼ毎世紀、私たちは同じことを繰り返す運命にあるということだ。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20210106-00010005-bazaar-life

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