※日経新聞

【シリコンバレー=奥平和行】米フェイスブックは7日、トランプ米大統領のアカウントを無期限に凍結し、同氏がSNS(交流サイト)に投稿できなくすることを明らかにした。米連邦議会に支持者が乱入して死者が発生した6日の事件を受け、トランプ氏に自由な発言の場を提供してきた従来の姿勢を転換した。

マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)がフェイスブックへの投稿を通じて新たな方針を説明した。「政権移行期に当社サービスの利用を続けることを許容するリスクは大きすぎると考えた」と述べ、少なくとも政権移行が平和裏に完了する今後2週間は投稿を認めないとしている。

トランプ氏は6日、混乱が広がっているにもかかわらず支持者に「皆さんは特別」「愛している」などと呼びかける動画を投稿し、違法行為を制止しなかったとの指摘を受けている。フェイスブックはこの動画を削除し、利用規約に違反したトランプ氏のアカウントを24時間にわたって凍結する方針を示していた。

同社はトランプ氏の政治姿勢に反対する人たちから批判を受けても、投稿を妨げることは極力避けてきた。ザッカーバーグ氏は7日、「賛否両論ある内容でも、人々は政治的な発言に最大限アクセスする権利がある」と改めて主張する一方、「現在は民主的に選ばれた政府高官に対する暴動の扇動に使われており、状況が一変した」と判断を覆した理由を述べた。

フェイスブックの姿勢を問題視してきた人たちの間からは今回の判断を歓迎する声があがるものの、これで批判を抑えられるかは不透明だ。

「選挙不正」などトランプ氏の度重なる不正確な内容の投稿を許容したことにより陰謀論を信じる人たちが増えたとの指摘があるほか、任期が残りわずかになってからの対応に対して「決して英雄的行為ではない」(投資家のM・G・シーグラー氏)などといった冷めた見方が出ている。

2021/1/8 5:04
https://www.afpbb.com/articles/-/3325133