ライナー延伸・3つのプラン、最適解はどれ?

 東京都の新交通システム「日暮里・舎人ライナー」を、埼玉県側に延伸するプランが浮上しています。2019年には、東京都内の鉄道のうち何本かを埼玉県側に延伸する「あと数マイルプロジェクト」を掲げた大野元裕知事が当選し、埼玉県が2020年9月に開催した「第2回 公共交通の利便性向上検討会議」では、都営大江戸線や東京メトロ有楽町線の延伸計画とともに、舎人ライナーについても言及されました。

 日暮里・舎人ライナーは片側2車線ある「尾久橋通り」の中央部分に高架線が設けられており、終点の見沼代親水公園駅(東京都足立区)は、北へ300mほど行けば都県境という位置です。埼玉県はここから、「西方向」「北方向」「東方向」と3方向の延伸プランを提示しています。

 延伸ルートの詳細はまだ決まっていませんが、尾久橋通りが毛長川を渡り埼玉県草加市に入ってすぐ、大型ショッピングセンター(島忠ホームズ)のある「遊馬町(西)」交差点付近までは3ルートとも共通でしょう。その先の想定されるコースを、地域の路線バスに乗りながらそれぞれ検証しました。

西方向:埼玉高速鉄道に接続
 日暮里・舎人ライナーを道路上に延伸させるには、中央分離帯に幅4m程度の橋桁を設置する空間が必要です。その点で有利なのは、3方向のうち西側の埼玉高速鉄道 鳩ヶ谷駅か新井宿駅(いずれも川口市)に至るルートでしょう。

 尾久橋通りは埼玉県に入って「第二産業道路」と名前を変え、旧鳩ヶ谷市内を北西方向に貫きます。道幅や中央分離帯の規格は東京都側とさほど変わらず、導入スペースはほぼ問題がなさそうです。途中、首都高S1川口線との交差部が存在しますが、日暮里・舎人ライナーは現時点でも、扇大橋で首都高C2中央環状線をまたいでいるという「実績」もあります。

 ただ第二産業道路周辺は、それほど人家が密集しているわけでもなく、現状で路線バスも小型のコミュニティバス(川口市「みんななかまバス」など)が道路周辺を1日数回走るのみ。また建設できたにしても、いま鳩ヶ谷駅から東京メトロ南北線でJR山手線の内側に向かっている人々が、山手線以外に乗り替えの選択肢が少ない日暮里経由に通勤ルートを変えることは考えにくいのではないでしょうか。

https://news.yahoo.co.jp/articles/7f2105c6efbdc3fe2bc4117a43e21d742b1f3b4e
1/9(土) 6:20配信