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海上自衛隊で食べられているカレーを再現して提供し、呉市の有力な観光コンテンツとなった「呉海自カレー」の事業主体を巡り、
市が3日、新たな実行委員会を設立した。呉観光協会を核とするこれまでの実行委もある中、
「商標権は市が所有する」として事業を主導する構え。参加店などには戸惑いの声も聞かれる。

市役所で設立総会のあった新組織は「呉海自カレー・呉グルメ実行委員会」。市や呉商工会議所、呉広域商工会など9団体でつくり、
オブザーバーとして海自呉地方総監部も加わる。共同代表に新原芳明市長と呉商議所の神津善三朗会頭が就任。
カレーの提供店を巡るシールラリーや海自呉基地でのフェスタ開催など、事業の根幹は引き継ぐという。

これまで事業を担ってきたのは、市が2008年に呉観光協会、呉飲食組合などと設立した
「大和のふるさと呉」グルメキャンペーン実行委員会だ。呉観光協会の奥原征一郎会長がトップを務める。
昨夏、新原市長ら委員3人が再任の辞退を申し出て、市として退く形になっていた。

理由について新原市長は「市全体で盛り上げようと申し上げたが、理解を得られなかった」とする。
市側の説明によると、市は呉海自カレーの知名度が高まる中、カキや肉じゃが、細うどんなど他の呉グルメも一緒にPRし、
観光客を増やす戦略を描いた。呉商議所などにも参加を呼び掛け、昨年5月に会則の変更を提案した。

しかし、関係者によると、組織拡大を伴うタイミングでの会則変更は「トップ交代を迫るニュアンスがにじんだ」という。
結果的に変更には至らず、市は新組織の設立に向かった。

新たな実行委について奥原会長は「今までの活動を踏みにじるもの」と憤りを口にする。「大和のふるさと呉」の実行委は昨年10月、
元海自呉地方総監で金沢工業大虎ノ門大学院の伊藤俊幸教授たちを新たな委員に迎え入れた。
今後、海自や海軍をテーマにしたカレーのレトルト販売などを計画している。

ある参加店は「みんなで育てた呉海自カレーのブランドイメージが悪くならないか心配。双方が協力し合ってほしい」と思いを語った。

<クリック>呉海自カレー 海上自衛隊員が食べるカレーを呉市内の飲食店が店で提供する。
隊員は毎週金曜にカレーを食べる習慣があり、部隊ごとに味は異なる。店と部隊が1対1で組み、
店側が味を忠実に再現、認定をもらう。2015年度に始まり、19年度は全30店がイベントと合わせて15万2千食を売った。
20年度は新型コロナウイルスの影響で大幅に落ち込んでいる。