【ワシントン時事】米名門エール大による入学者選抜での黒人優遇が、白人やアジア系への逆差別に当たるとトランプ前政権が訴えていた裁判で、米司法省は3日、訴えを取り下げた。人種問題への取り組みで、前政権からの方針転換を進めるバイデン政権の姿勢を示した。

 米国の多くの大学は、人種的・民族的な多様性を確保するための「アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)」として、入学者選抜で黒人やヒスパニックを優遇している。白人保守派にはこの措置への反発が強い。トランプ前政権は昨年10月、優遇が「アジア系や白人への不当な差別に当たり、公民権法に違反する」として、エール大の所在地である東部コネティカット州の連邦地裁に提訴していた。

 米国ではハーバード大でも、入学者選抜での黒人やヒスパニック優遇が「アジア系差別だ」として学生団体が訴訟を起こしたが、連邦高裁は昨年11月、訴えを退ける決定を下した。エール大をめぐる訴訟取り下げについて、司法省の報道担当官は米メディアに「ハーバード大の優遇措置に関する高裁決定などを踏まえた判断だ」と説明している。

時事通信 2021年02月04日08時15分
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