年が明けて、2021年1月、金利が上昇していくといわれています。
そんなことをいわれても、コロナ禍による緊急事態宣言下においては、私たちにとってはあまりピンとこないかもしれません。

このようにいわれている理由をひもときながら、私たちに身近な生活の中で金利が上がるかどうかについて考えてみます。

(中略

■日本の場合、金利はなぜ上がらないのか
それでは日本の場合、10年物国債の利回りは何%ぐらいになっているでしょうか。
2021年1月15日時点ではわずか0.03%/年です。ほぼゼロパーセントですが、これが日本の実情です。

問題は、「金利が上がるの?」ということですが、10年物国債の利回りを見ただけでも、日本の場合低すぎる状況が続いているため、上がるとは到底思えません。

通常、金融緩和政策により市中に資金を大量に供給しているため、金利は下がっていきます。
コロナショックにおいて、それまでの金融緩和政策をさらに拡大し、資金供給量をさらに増やしているため、国債の利回りは低い水準を維持しています。

これが景気の下支えや景気の回復を企図している金融政策の狙いなので当然の結果といえますが、
結論をいうと、まだしばらくの間金融緩和政策を維持するため、国債の利回りはそうそう上がらない、つまり金利は上がらない可能性が高いといえるでしょう。

日本の場合の問題点は実をいうと、コロナショックによる景気の冷え込みというよりも、
それ以前から続いている、例えば、消費税増税による景気の落ち込みや将来増税されるだろうという先行き不安、
公的年金制度に対する不信感に根差した老後不安など、税や社会保障制度の不透明性からくる需要不足にあります。

時系列的にいうと、アベノミクスによる大規模金融緩和の後、2016年にマイナス金利政策を実施し、事実上金融緩和政策を拡大し、
その間消費税率を5%から8%に引き上げ景気が悪化、そして2019年10月に再び消費税率を8%から10%に引き上げたため、再び景気が悪くなり、その矢先のコロナショックです。

すでに大規模な金融緩和政策を実施している最中に、さらにコロナショックで金融緩和の規模を拡大させているため、
今いわれていることは、日本の場合金融緩和政策だけでは必要な効果は得られず、財政出動をする必要があるという点です。

コロナショックの下支えとして財政出動を実行している最中ですが、報道されているような事業規模でなく、真水部分に着目すると、
必ずしも多いとはいえないため、財政出動の効果はそれほど期待できず、金融緩和でエンジンをふかしながら、
財政出動による景気下支え効果を狙っていると想定すると、金利はなかなか上がらないと考えるのが妥当ではないでしょうか。

■まとめ
金利は上がるの?

日本の場合は、税・社会保障制度の問題が国民の将来に対し、長期的に暗雲を立ち込めさせているため、
デフレから脱却し実体経済の回復が家計に実感として及ばない限り、よくいっても、ほとんど金利は上がらないかもしれません。

「金利が上がる!」、「どうしよう」と拙速に捉えるのではなく、金融政策を踏まえ、日本の構造的な問題に着目してみると、
そんなに慌てる必要はないように思います。失われた30年がさらに40年になるかどうかが、コロナショック後の令和の時代です。

しっかりと見定めながら家計運営を行っていきましょう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/03e830608953c7cbf3ffac223c73322806e88eef?page=1