東京電力柏崎刈羽原子力発電所(新潟県柏崎市、刈羽村)の所員が他人のIDカードで中央制御室に不正進入した問題で、警備担当者らが所員のデータを書き換えていたことが8日、原子力規制委員会の検査で分かった。


 この日、規制委は非公開の臨時会を開催。今後、追加検査を実施した上で改善指導する方針を決めた。

 問題の所員は20歳代男性で昨年9月20日、自分のIDカードではなく、別の所員のカードで原発の運転を管理する中央制御室まで進入した。規制委によると、進入の際にカードと所員の情報が合わず警報が鳴ったにもかかわらず、警備担当者2人が、この所員の情報にデータを書き換えてゲートを通していたという。また、別人ではないかと気付いた他の警備担当者も声をかけるにとどめていた。

 臨時会で規制委は、問題の重大性を暫定評価した。それによると、4段階ある重大性の評価尺度の下から2番目で、当事者が同原発の構内関係者にとどまる点などを考慮したという。7日以内に東電から反論がなければ、評価を確定する。

 また、規制委は、問題が起きた翌日の昨年9月21日に事務局が東電から報告を受けながら、今年1月まで更田豊志ふけたとよし・規制委員長に説明していなかったことも明らかにした。担当者は「認識が甘かった」と述べた。

 規制委は昨年9月23日に同原発の再稼働に必要な審査のうち、安全管理ルールを定めた「保安規定」を了承している。今後、報告の遅れが審査に影響したかどうかも含めて議論する。

読売新聞 2021/02/08 21:24
https://www.yomiuri.co.jp/national/20210208-OYT1T50181/