ジョンソン英政権による新型コロナウイルスのワクチン接種戦略が、「まれな成功」(フィナンシャル・タイムズ紙)と一定の評価を得ている。
国内は変異ウイルスの拡大で深刻な事態だが、主要国に先行して「英史上最大のワクチン接種計画」(政府)が迅速に進み、
被接種者は7日時点で全成人の2割以上に当たる1200万人を突破した。

英政府は昨年12月8日、高齢者施設入所者や医療従事者らを最優先にした予防接種を開始。
全国各地に大型ワクチンセンターを設置し、一部病院での接種も24時間体制にした。

英オックスフォード大研究者らのデータベースによると、今月6日時点の100人当たり接種回数は17.6回で、
主要国の中ではイスラエルなどに続く3番目となっている。

15日までに優先グループ1500万人全員の接種を済ませる政府目標も達成できる見通しだ。

ロンドン在住の日本人女性の夫(65)は先月末、予想より早く病院に呼ばれて1回目を接種した。
夫妻とも「もう順番が回ってきたのか」と驚いたという。

感染を警戒して家族はほとんど外出しておらず、ワクチンを打てて「とりあえず安心した」(女性)という。

感染力の強い変異ウイルスがまん延する英国の死者数は7日時点で11万2000人以上。
死者10万人超は欧州唯一で、ジョンソン政権は大きな批判を浴びた。

しかしワクチン接種が進むと、右肩上がりだった死者・新規感染者数は下降し「警戒しながらも期待が持てる状況」(BBC放送)となりつつある。

フィナンシャル・タイムズ紙は、ワクチン戦略の成功は「(大規模接種に向けた)しっかりとした政策立案と予算を惜しまず投入する覚悟、
国営医療サービス(の活用)」の3点が結びついた結果だと分析。

昨年末からの変異ウイルス流行で医療崩壊が目前となったことで、リスクを覚悟した上での異例の対応を可能にしたとの見方もある。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021020800847&;g=int