「どうしても見せたいものがある」

 そういって男性が連れてきてくれたのは、フロリダ州ペンサコーラにある全米屈指の航空博物館だ。見せたいものとは、そこに展示されている旧日本軍の戦闘機「ゼロ戦」だった。

「ゼロ戦と空中戦を戦ったアメリカ軍のパイロットは例外なく、その機体の高い運動性能を恐れていた」

 美しい流線型の機体の説明書きにはそう記してあった。

 だが私は、ゼロ戦を見るために首都ワシントンから出張してきたわけではない。目的は一つ。トランプ氏を熱狂的に支持した人たちが、選挙のあとどうしているかを知るために、会いに来たのだ。

 アポイントをとった退役軍人の男性は、取材を快く引き受けてくれた。そのあとで、ぜひ見せたいものがあるという。

「私は湾岸戦争で、空母艦載機のパイロットをやっていたんだ」

 コロナ禍で博物館が公開を制限する中、私が来るのに合わせて、中に入れるようわざわざ担当者に話をつけてくれていたのだ。

 ゆっくり眺めていたい気持ちもあるものの、正直、それどころではないという気持ちの方が強かった。出張中に取材できる時間は限られている。博物館の見学よりも、ロケをしていたい。 しかし取材先の好意をむげにすることもできない。

 実はトランプ支持者を取材していると、こうした身に余る「おもてなし」をしてくれる人に出会うことが少なくない。「軽い打ち合わせのため」と呼ばれていった自宅で、立派な夕食を用意してくれていた支持者もいた。

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https://www.nhk.or.jp/d-navi/note/article/20210208.html
2021年2月8日