https://news.yahoo.co.jp/articles/cc0f5e4cb62585997cca7c472eb74e509c69dae1
ドナルド・トランプ前米大統領に対する弾劾裁判2日目の10日、民主党側はトランプ氏が「最高扇動者」だったと主張し、1月6日の議会襲撃で、
マイク・ペンス副大統領(当時)や議会幹部にいかに暴徒が肉薄したかを示す映像を次々と上院で提示した。

弾劾裁判で検察官役を果たす下院民主党の「弾劾管理人」たちは、襲撃映像やトランプ氏自身の発言やツイートを提示し、大統領選での敗北を認めず
圧勝したのは自分だと主張し続け、当日には支持者に議事堂へ向かうよう呼びかけたトランプ氏が、襲撃当日より前から「最高司令官」ならぬ「最高扇動者」だったのだと陳述した。

これまで未公開だった防犯カメラ映像からは、議事堂に侵入した暴徒がペンス副大統領(当時)や民主党幹部のナンシー・ペロシ下院議長、
トランプ氏に批判的なミット・ロムニー上院議員(共和党)の近くまで迫っていた様子も明らかになった。
警官たちが警察無線越しに息せき切った様子で応援を要請し、群衆が自分たちに対してバットや催涙ガスなどを使って攻撃してくると報告する音声や映像も、
証拠として提示された。
米領ヴァージン諸島選出のステイシー・プラスケット下院代表(民主党)は、前大統領が暴力を「意図的に奨励」し、ペンス副大統領を含む議会幹部の
「背中に標的をはりつけた」に等しいと主張した。
※略

■10日の審理では
下院弾劾管理人団のトップをつとめるジェイミー・ラスキン下院議員は、トランプ氏は議会襲撃の「罪のない傍観者」などではなかったと主張。
数カ月前から支持者による暴力を「たたえ、奨励し、育成」していたのだと主張した。
※略

これまで未公表の防犯カメラ映像も次々と紹介され、暴徒の一部が重装備を身に着けていた様子が提示された。
さらに、トランプ氏に批判的なミット・ロムニー上院議員(共和党)が知らずして暴徒の方へ歩いていくのを、議会警察のユージーン・グッドマン警官が制止し、
逆方向へ誘導した様子も示された。
グッドマン警官が暴徒と対峙(たいじ)し、上院本会議の反対側へ誘導した映像はすでに周知のものとなり、その勇気と機転がたたえられていたが、
同警官がロムニー議員を危険から遠ざける映像はこの日初めて公表された。

別の防犯カメラ映像では、ペンス副大統領がトランプ氏の要請に応じず、バイデン氏勝利の結果を否決しようとしないことに怒る暴徒が、
ペンス氏を「吊るせ」と繰り返す中、副大統領が家族と避難する様子も映っていた。
また、民主党幹部のナンシー・ペロシ下院議長のスタッフが、議長執務棟の会議室に逃げ込みドアをバリケードした後、暴徒が近くの扉から執務棟に侵入し、
「ナンシー、どこだ?  ナンシー?」などと挑発する様子も映っていた。
この日の審理で示された映像には、トランプ支持者のアシュリ・バビット氏が下院ロビーに侵入しようとして撃たれた際の映像や、暴徒によってドアに挟まれ叫ぶ警官の生々しい様子なども含まれた。

弾劾裁判で検察官役の下院管理人たちは繰り返し、陪審員役の上院議員たちに向かって、当日のことを思い出すよう呼びかけた。
「暴徒の集団が集まっていた場所から、皆さんはあの時、たった58歩しか離れていなかったんですよ」と、エリック・スウォルウェル下院議員は強調した。
「皆さんが今いるそこに、襲撃した者たちは立っていた(中略)この場を汚し、大統領は文字通りそれを喜んでいた。私たちを助けるために何もしなかった」と、
デイヴィッド・シシリーニ下院議員(民主党)は共和党の議員たちに訴えた。「これをたださなくてはならないし、皆さんにはそれができる」とも述べた。
民主党のホアキン・カストロ下院議員も、「トランプ大統領はこの議事堂にいる全員が死んでも構わないと放置した」と強調した。
※略

共和党穏健派のスーザン・コリンズ上院議員(メイン州)は、民主党側の主張について「説得力がある」「引き込まれる」もので、上院は静まり返って清聴していたと話した。
同リサ・マーカウスキ上院議員(アラスカ州)も、
「こうして提示された事態の全容をアメリカ国民が見たら(中略)ドナルド・トランプがどうやったら再び大統領に当選できるのか、見当もつかない」と述べた。