毎日新聞

無戸籍の高齢女性が餓死した問題を受け、大阪府高石市は18日、学校や高齢者施設などの公的機関と接点がない約1万2000世帯を、4月以降に戸別訪問すると発表した。困窮した高齢者らが支援を受けず孤立するのを防ぐ狙いで、2021年度当初予算案に3000万円を計上した。市によると、全国的にも珍しい取り組みという。

 高石市内の住宅では20年9月、高齢女性が餓死し、同居の息子も衰弱しているのが見つかった。女性は戦災孤児で戸籍を持たず、息子は出生届が出されず小中学校にも通っていなかったという。

 市社会福祉課によると、訪問事業は市社会福祉協議会に委託。住民基本台帳にある約2万5920世帯から、介護・障害者施設を利用したり、子どもが通学していたりする世帯などを除外。残りの約1万2000世帯について、市社協の職員やケアマネジャー、ボランティアらが2人1組で訪問し、21年度中に最低でも1回の接触を目指す。

 訪問に伴って無戸籍の人を見つける狙いもあり、住民基本台帳に記載がないのに居住の形跡がある民家が見つかった場合は、市に報告を求め、市が対応を検討する。病気や新型コロナウイルスの影響で失業するなどして孤立する若年・中年層にも働きかけ、必要に応じて生活保護の相談などを受ける。

 阪口伸六市長は「昨年のような事例を再び起こさないよう、行政から一歩踏み込み、相談しやすい環境を作りたい」と話した。【園部仁史】

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20210219-00000016-mai-soci

女性が餓死しているのが見つかった民家=大阪府高石市で2020年12月26日、森口沙織撮影https://i.imgur.com/cIzJ8Iw.jpg