新型コロナウイルス感染症の重症化を防ぐ遺伝子を現代人がネアンデルタール人から受け継いでいるとする研究結果が発表されました。

研究結果を発表したのはOIST(沖縄科学技術大学院大学)のスバンテ・ペーボ教授の研究グループです。

新型コロナの重症化を「予防する」遺伝子は別の研究グループによってすでに特定されていますが、
ペーボ教授らはこの遺伝子がネアンデルタール人に由来することを突き止めました。

日本人も約30%の人が保有しているということです。

沖縄科学技術大学院大学、スバンテ・ペーボ教授:「ネアンデルタール人は約4万年前に絶滅したが、
我々の祖先と交雑したため今も我々に影響を及ぼしています。プラスとマイナスの両面で」

反対に、現代人には「重症化させる」遺伝子も受け継がれていることが分かっています。

ヨーロッパや南アジアの人たちが「重症化」遺伝子と「予防する」遺伝子の両方を持つのに対し、
日本人など東アジアの人は「重症化」遺伝子を持っていません。

「重症化」遺伝子の方が5倍ほど影響力が大きいため、ヨーロッパでは死者や重症者が多いとしています。

沖縄科学技術大学院大学、スバンテ・ペーボ教授:「日本人は重症化を予防する遺伝子を持っている一方で、
重症化する遺伝子は持っていないので幸運だ。重症化の原因は(基礎疾患などの)他の方が大きい」

ネアンデルタール人は4万年前に絶滅しましたが、異なった種の交配によって一部の遺伝情報が現代にも受け継がれているということです。

国立科学博物館・篠田謙一副館長:「何で病気のなりやすさに違いがあるんだろうということにまでつながっているということで、
基礎的な学問がある意味では重要になるということが今回、分かると思うんです」

人類学者で国立科学博物館の篠田副館長は、今回のような分野を超えた研究成果はしっかりとした基礎研究に支えられているとして基礎研究の重要性を指摘しています。
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000207770.html#:~:text=%E6%84%9F%E6%9F%93