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 大腸の一部の内壁を剥がし、人工的に増殖させた小腸の細胞を移植することで、小腸の機能を持たせる技術が開発された。
慶応大医学部の佐藤俊朗教授らが26日までに英科学誌ネイチャーに発表した。
小腸を切除したラットにこの「小腸化大腸」を接続し、生存期間を延ばす実験に成功。
将来は、慢性炎症や潰瘍が生じる「クローン病」などの難病で小腸の大半を切除した患者に対し、応用が期待される。

小腸は飲食物を消化して栄養を吸収するため、水分を吸収する大腸とは内壁の構造が異なり、微小な突起「絨毛(じゅうもう)」が無数にある。
絨毛の谷間にある腸管上皮幹細胞が増殖する一方、さまざまな細胞に変わることで、新陳代謝が繰り返されている。

佐藤教授らはマウスやラット、人の腸管上皮幹細胞を実験容器内で立体的に培養し、細胞の集合体「オルガノイド」にする技術を開発したが、
血管や神経などを伴う小腸を丸ごと再生するのは困難だった。
そこで、小腸のオルガノイドを液体の流れがある状態で培養すると、絨毛ができることを発見。大腸の一部の内壁を小腸の内壁に置き換える方法を考案した。

ラットの実験では、まず大腸の一部を切り取って内壁を剥がし、小腸のオルガノイドを移植。
いったん腹壁に置いて定着させた後、難病患者モデルとして小腸を切除したラットの大腸に接続し、小腸として成熟させた。