※伊勢新聞
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 三重県鈴鹿市は25日、同市稲生町の大下遺跡で出土した木樋(もくひ)とふたの年代測定結果について、弥生時代後期のヒノキ材で加工したものと確認したと発表。
状態の良い木樋としては県内最古のものであるほか、環濠の排水処理の状態が分かる遺構としては、全国初の出土になると明らかにした。

木樋は平成30年度の発掘調査により、集落の周囲を堀で囲った長さ約80メートル以上の環濠の底部で発見。
木樋はふたを重ねたパイプ状にして使われ、地下排水溝として環濠にたまった水を平地に導くように設置したままの状態で見つかった。
木樋の長さは111センチ、幅17センチ、深さ14センチ、ふたは111センチ、幅26センチ、高さ14センチの大きさで、それぞれ厚さは5センチ。
集落の想定規模は約1万平方メートル。

年代測定は昨年9月と12月に、2社で放射線炭素を使った年代測定を実施。
大阪市立大文学研究科日本史専修(考古学担当)の岸本直文教授ら考古学者5人も「間違いない」と評価した。

木樋は流水を使用した祭祀(さいし)で使用する導水施設の可能性もあるが、現状での評価は困難という。
木樋取り上げ時に現地で指導にあたった岸本教授は「水の祭祀を行っていた可能性については、木樋の先を調査する必要がある」とコメントした。

市は今後、木樋の保存処理をし、考古博物館での公開や精密な模型を作製する予定。